2017.10.19 典型的な昭和の頑固オヤジだ 【家族はつらいよ】
家族はつらいよ [ 橋爪功 ]
評価:3
■ヒトコト感想
「東京家族」のキャストそのままに、まさに東京に住む家族の姿を描いた作品。東京家族では、田舎からでてきた年老いた両親と東京で暮らす兄弟たちの物語が秀逸だった。兄弟それぞれの個性に焦点が当てられ、なんだか強烈に田舎の両親を思い出させる作品だった。本作では、家族は同じ家に住み、父親はまさに昭和のガンコオヤジ化している。
ただの老害と言えなくもない。長年連れ添った妻が熟年離婚を突きつけてくる。昭和の時代であれば普通であった父親の行動も、今見るとかなり横暴に見える。母親が自分の人生を楽しむために離婚してくれと言う。父親の典型的な昭和のオヤジ風味が物語を面白くしている。ただ、兄妹たちがほとんど目立たないので、前作よりもパワーダウンしている。
■ストーリー
妻が欲しかった誕生日プレゼントは――「離婚届」! ? 一家に突然降りかかった、まさかの“熟年離婚"騒動に、家族全員は大慌て! ! 結婚50年を迎えようとする平田家の主・周造と妻・富子。たまには妻に誕生
日のプレゼントでも買ってやろうかと、周造が欲しいものを聞いてみると、富子の答えはなんと・・・
「離婚届」! ! 突然起きたまさかの“熟年離婚"騒動に、子どもたちは大慌て。何とか解決策を見つけようと≪家族会議≫を決行し、離婚問題について話し合おうとするものの、それぞれの不満が噴出しはじめ、事態は思わぬ方向へ・・・!
果たしてこの家族はどうなってしまうのか! ?
■感想
熟年離婚に大騒ぎする家族を描いた作品。一番象徴的なのは、次男家族以外はみな同じ屋根の下で生活しているということだ。東京の家はそれほど広いようには見えない。年老いた両親、長男夫婦に息子が2人。そこに三男がいる。
まさに昔ながらの大家族だ。父親は定年し悠々自適な生活をしている。飲んで帰ると、母親がジャケットとパンツを受け取りハンガーにかける。父親が脱いだ靴下を拾って歩くのも母親の役目だ。今ならば存在しない、まさに昭和のガンコオヤジの姿がここにある。
今回は熟年離婚がメインとなっている。そのため、子供たちにはほとんど焦点は当てられていない。次女は旦那が頼りないために、しっかりと稼いでいる。長男家族は、嫁がすべての面倒をみているようで、まさに、マスオさんの逆パターンだ。
三男は実家暮らしから恋人との同棲をしようとする。兄弟たちはわりと平穏で、両親の熟年離婚に対してだけ、強烈なインパクトのある流れとなっている。自分がその年になった時のことを考え、本作のようなことにならないとは、誰も言えないだろう。
結局のところごく平凡な下町の家族を描いた作品だ。熟年離婚をするかしないかは、妻に対して日頃思っている言葉を口に出せるか出せないからしい。父親が倒れ、そこでバタバタし、その後、熟年離婚の件は解決してしまう。
どうにも緩い結末のように思えてしまう。こんな感じで円満な家庭を続けられるというのはなかなかないだろう。兄弟たちの関係や、兄弟それぞれの問題が今回はまったく描かれていないので、ちょっとインパクトが弱い。
こんな家族をコントロールする長男の嫁は相当大変だ。
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