カラスの親指


 2015.5.23      大どんでん返しが秀逸だ 【カラスの親指】

                     


■ヒトコト感想

原作のイメージでは、ラストの大どんでん返しがすばらしいというのがあった。本作を見た時には、原作でのオチを忘れていたので、新鮮な気持ちでラストのオチを楽しむことができた。サギ師のタケとその弟子のテツ。ふたりの詐欺師コンビの家に美人姉妹とひとりの男が転がり込み、姉妹の復讐を目的として、ヤクザの企業に対して大きな詐欺を仕掛けようとする。

まずタケとテツのコンビが良い。特にテツのなんだかオヤジ狩りに合いそうな頼りなさげな風貌と、おどおどとした詐欺の仕方。このデコボココンビが最高に面白いのと、姉妹たちとの交流も面白い。タケの不幸極まりない過去が明かされてからのラストへの流れは秀逸だ。ラストのどんでん返しは、まさにコンゲームの極みといったところか。

■ストーリー

悲しい過去を背負いサギ師になったタケと、成り行きでコンビを組むことになった新米サギ師・テツの下に、ひょんなことから美人姉妹とひとりのノッポが転がり込んで来る。

■感想
冒頭からタケとテツの詐欺師コンビが鮮やかな詐欺を披露する。単純な詐欺だがうまくいく。それはディティールに凝った演技があるからだろう。骨董品に詳しい人物に見せるために和服を着たり、競馬初心者と思わせるように、ぬぼっとした風貌を演じたり。

タケに弟子入りする形のテツ。住んでいたマンションが火事となり、男ふたりで一軒家に住むことになる。ふたりの関係がわからないまま、タケの悲しい過去が語られる。タケの過去はかなり不幸だ。ヤクザのせいで家庭が崩壊し、自分自身の人生もドロップアウトせずにはいられない。

タケが過去にヤクザに追われるようなことをしたために、逃げ続ける生活を続けるタケ。そこに偶然転がり込む形となった美しい姉妹と奇妙な男。この総勢五人でヤクザから金をせしめようとする。五人の詐欺計画は準備段階を見ても内容は想像つかない。

観衆はタケたちの仕掛けを、ただ単純に見るしかない。どのような詐欺計画かわからないので、その後の計画が一切予測できない。突然男が銃を片手に暴れまわり、姉妹の一人がマンションから飛び降りてしまう。むちゃくちゃな状態だが、どのような詐欺なのかは最後に判明することになる。

ヤクザ一味に対する詐欺行為の結果だけでは終わらない。皆がそれぞれ自分の目的を達成し、自分の過去のわだかまりも解消できたはずが、最後の最後に壮大なネタ晴らしがある。タケが最後の仕掛けに気づく瞬間は、まさに鳥肌ものかもしれない。

ひとつひとつの出来事がすべて仕組まれていたことに衝撃を受ける。そんなところまで仕組んでいたのか?という驚きと、なぜそのような仕掛けを行ったかに気づくと、感動してしまう。強烈なインパクトはないのだが、コンゲームの定番として、ラストの大どんでん返しは強く印象に残っている。

原作の良さをうまく映像化している。



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