2014.10.22 青春ユーモアファンタジー 【鴨川ホルモー】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
謎のサークルに入った安倍が「ホルモー」の世界にはまり込む。関係者にだけ見える小さなオニたちが戦う「ホルモー」。その世界に入り込むまでの安倍たちの行動は普通の大学生だ。だが、奇妙な面白さがある。早良さんの鼻の美しさに魅了された安倍。早良さん目当てで入ったサークルで、謎の「ホルモー」が始まる。小さなオニを兵士として使い、戦国時代の戦いのようにオニ同士を戦わせる。勝てば良いのだが、自分のオニが全滅すると…。
無慈悲な罰がまっている。京都を舞台にした青春ユーモアファンタジーと言うべきだろうか。他大学との決戦もあり、サークル内の恋愛問題あり。ごく普通の青春物語とは少し違う。京都という土地が何かファンタジーを連想させるのだろうか。奇妙な不思議さをすんなり受け入れてしまう。
■ストーリー
謎のサークル京大青竜会に入った安倍を待ち構えていた「ホルモー」とは? 恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。前代未聞の娯楽大作、ここにあり!
■感想
京大青竜会。このヤクザ組織のようなサークルが「ホルモー」を行う集まりだ。二年に一度しか新入生を勧誘しないサークル。二年で代替わりし、その後、「ホルモー」に挑戦する。サークルに入り神と契約することで、小さなオニが見えるようになる。そのオニたちを、鬼語を駆使して操作し戦いを繰り広げる。
オニ同士の戦いは、小さな人形が戦うようでどこか微笑ましい。血なまぐさい戦いではなく、ほのぼのとしたものだ。ただ、自分が操るオニたちが全滅した時、その操作者に恐ろしい罰が降りかかる。この罰こそが、「ホルモー」のすべてなのだろう。
「ホルモー」のありえないような伝統の数々。架空の物語ながら、京都の奥深くでは、こんなことが起きるのでは?と思わせる流れがある。京都と言えばどうしても森見登美彦を思い出してしまう。物語のトーンも近いので、モテない男が苦労するというところも似ている。
本作の安倍がモテるかモテないかはさておき、チャラチャラした大学生とは対極にあることは確かだ。「ホルモー」という日の目を見ない、よくわからない怪しい行事をやり遂げるなんてのは、どこか正常な思考ではないのだろう。ただ、この浮世離れした自由さのようなものが本作の魅力なのかもしれない。
ほのぼのな流れの中で、ペナルティとして登場してくるモノが面白い。「ホルモー」で敗れた者は、自分だけが大事にしているものを失ってしまう。強烈ではないが、失うモノが個性的で面白い。思わず想像して笑いがでてくるものもある。ちょっと変わった大学生たちの面白青春物語だ。
京都で大学生活を過ごしたような人であれば、間違いなくはまることだろう。京都に縁はないが、もしかしたら、現実にも「ホルモー」のような奇妙な儀式があるのかも?と思わせる独特な雰囲気がある。
オニが敗れた場合のペナルティが、大声で「ホルモー」と叫ぶなんてのは面白すぎる。
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