IT 第1巻  


 2017.3.23      正体不明のITの恐怖 【IT 第1巻】

                     
It 1 /文藝春秋/スティ-ヴン・キング/スティ−ヴン・キング
評価:3
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■ヒトコト感想
ITという謎の怪物と闘う少年たちの物語。冒頭からいきなりピエロに腕を引きちぎられ死ぬ少年の話が始まる。物語としては過去の回想と、少年たちが大人になった現在が語られている。少年時代の様々な経験はどこか「スタンド・バイ・ミー」を思わせる流れがある。体の大きいいじめっ子たちをどのように対処するのか。さまざまな危機を乗り越える子供たち。

そして、大人になりそれぞれの人生を歩んでいたのだが、そこに一本の電話が入り、ITの悪夢が始まったと知る。まだ1巻ということで、ITの正体は明らかとはならない。別々の人生を歩み、大人になった者たちがいきなり呼び出されITと対決することになる。そこから回想が続く。まだ全容が明らかとならないだけに、先が気になって仕方がない。

■ストーリー
少年の日に体験した恐怖の正体は何だったのか? 二十七年後、引き寄せられるように故郷の町に戻り、IT(それ)と対決する七人

■感想
冒頭からひとりの少年が自作の紙の船を追いかけている途中で、ピエロに腕をちぎられ殺されてしまう。そして、類似した事件が次々と起こる。まずこのピエロが現実のものなのか、超常現象なのか、なんらかの特殊能力をもった殺人者なのかは不明だ。

ただ、ある者には見えて、ある者には見えないということから、特殊な存在であることは間違いない。30年ごとに発生する陰惨な事件。ITが関係すると匂わせながら、物語としてははっきりと言及しない。

突然現代へと時代はうつり、そこでひとつの電話が鳴る。ITを倒すために集められる者たち。この段階では、なぜこの大人たちが集められるのか?過去に何かあったのかはわからない。それでもITという正体不明のピエロを倒すために集められる大人たちの状況は非常にワクワクしてくる。

幸せな家庭を築いている者もいれば、夫にDVを受けている妻もいる。過去の出来事は回想形式で語られることになる。この少年時代の出来事は、様々な困難に協力して対応する冒険物語となっている。

本作ではITの正体やどのようにしてITと闘うかは描かれていない。ITが悪魔的な何かなのか、それとも現実的な異常者なのか。引き寄せられるように集められた成長した少年たちが、どのようにしてITと対決するかや、大人たちがそもそもITとどのように関係しているのかが不明だ。

それらは今後、順番に描かれていくのだろうが、現段階では疑問点が多すぎて早く先が知りたいという気持ちになる。恐怖の描写はすさまじく、また、家庭が暴力に溢れている部分があるので、全体的には非情に暗い印象の作品だ。

第2巻ではどこまでITの正体が明らかになるのか、気になるところだ。



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