スタンド・バイ・ミー  


 2017.1.27      映画とは異なる恐怖感 【スタンド・バイ・ミー】

                     
評価:3
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■ヒトコト感想
スタンドバイミーと言えば映画をイメージしてしまうが、原作はずいぶんと雰囲気が違うと感じた。「死体探し」の旅での様々なアクシデントや冒険が描かれている。少年独特の感性が描かれており、仲間とともに冒険することのワクワク感は感じることができる。が、結局のところ年上のチンピラたちにボコボコにされるなど、現実の厳しさも描かれている。

スティーブン・キングの実体験のような描かれ方をしており、映画のイメージとはちょっと違う。その他の短編では、医者と妊婦の話が強烈に印象に残っている。スティーブン・キングの得意分野である強烈な恐怖を感じさせるホラーとなっている。出産間近の妊婦が事故に遭うのだが…。悲惨な出来事の中にほんの少し希望がもてるのが良い。

■ストーリー
行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。他に、英国の奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。

■感想
いくつかの中編と短編から成り立つ本作。メインは映画で有名なスタンド・バイ・ミーだ。4人の少年たちが森の奥にある死体を探しに行く冒険ものだ。生意気盛りな少年のうちのひとりが作者ということになっている。

少年たちがちょっと近所を冒険するのではなく、食糧を持ってキャンプをするような旅だ。当然ながら旅の途中では様々なアクシデントがある。大人に追いかけられる場面もある。ただ、それらの「悪いこと」をしている感がより少年たちの冒険心をくすぐるのだろう。

死体を探す冒険を終えた後も、物語には続きがある。結局のところ年上のお兄さんたちにボコボコにされてしまう。ちょっと痛めつけるレベルを超えるような制裁だが、少年たちは犯人を警察や大人たちにチクることはない。

このあたりはまさに少年たちの気概というか、冒険者としての心意気のようなものを感じた。小生意気な少年たちが大冒険をする。大人たちがダメだと言えば言う程、冒険したくなるのが少年たちだ。そんな純粋な少年の心を少しだけ思い出させてくれるような作品だ。

医者と妊婦の短編は強烈なインパクトがある。出産を間近に控えた妊婦と担当する医者。医者目線の物語で、陣痛が激しくなった妊婦がタクシーに乗り病院へと急ぐのだが…。そこで激しい事故により、なんと妊婦の首が千切れてしまう。

このあたり、スティーブン・キングらしいホラーだ。首が千切れたとしても、体はまだ生きておりうまくいけば胎児を取り出せるかもしれない状況となる。そして…。首が切れた際に、本来なら声がでるのは口だが、千切れた胴体の方からヒューヒューと風の通るような音が聞こえる。想像しただけで恐ろしくなる。

スタンド・バイ・ミーは映画と随分印象が異なる作品だ。



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