遺品 若竹七海


 2015.5.28      オカルトミステリー? 【遺品】

                     
若竹七海おすすめランキング


■ヒトコト感想

失業中の学芸員が、新たにホテルで資料をまとめる仕事につく。伝説的大女優の曾根繭子が自殺をした場所。ホテルで繭子に関わる膨大な資料を整理し、展示会を成功させるため生前の繭子を調査する。オカルト要素が強く、ミステリー的な要素は弱い。ホテル内の様々な人間関係と、繭子のパトロンの狂気じみた愛など、今で言うストーカーの強烈なパターンだ。

繭子の下着や、使った割り箸など普通ではない収集品の数々。それらを整理していく中で、繭子周辺の不可思議な出来事と、現在にも巻き起こる繭子絡みのオカルト現象が鍵となる。ホテルの関係者がひとり死に、ふたり死に行く中で、誰が犯人なのか。オカルト一辺倒ではない部分もあり、事件の結末は興味深いものとなる。

■ストーリー

失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺していた。その整理を進めるわたしは、彼の歪んだ情熱に狂気じみたものを感じていく。やがて起こる数々の怪異。繭子の呪い?それとも…。長編ホラー。

■感想
学芸員としての仕事を首になり、過去の知り合いのつてからホテルでの学芸員風な仕事を依頼される。仕事内容は曽根繭子の遺品を整理し、展示会を開催すること。ホテルの創業者が繭子の熱烈なファンであり、パトロンとして支援していたため、かなりの遺品がある。まず最初に度肝を抜かれるのが、遺品の内容だ。下着から始まり、通常のコレクターが収集する物以上のとんでもない物の数々。

到底、すべてを展示することなどできない。そして、いわくつきのフィルムを見つける。燃やしたとしても、必ずどこかに生存している謎のフィルム。このあたり、オカルト臭が強くなってくる。

繭子の遺品を整理する過程で奇妙な事件が起こり始める。そして、繭子の遺品を整理している本人が、だんだんと繭子の風貌にそっくりとなる。なぜそうなるのか、という説明はない。オカルトの流れのまま、物語は続いていく。繭子の恨みなのか。だとすると、何を目的としているのか。

物語はリングの貞子のように繭子が恨みを持ち、さまようような流れとなる。重要な関係者が次々と死んでいくのは、この手の物語の定番として、その現象に対する明確な回答がない。そのため、オカルト風な流れが強烈に印象に残っている。

ラストの展開は驚きに満ちている。流れからは、すべて繭子の怨念が引き起こしている現象のように思えるが、答えは違う。なぜ?というイメージよりも、そのパターンかという驚きがある。結局のところ、しっかりとした現実的答えが示されるわけではない。

強烈なインパクトがあるわけではないのだが、ミステリアスな流れの中でオカルトが混じると、恐怖感は倍増してくる。オカルトの要素としても、その先に現実的な答えがあるという雰囲気があればよいのだが、本作の場合、最後までオカルトは続くことになる。

終始、強いオカルト的雰囲気がある。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp