人に強くなる極意 佐藤優


 2016.7.18      対人スキルが必ずアップする? 【人に強くなる極意】

                     
人に強くなる極意 [ 佐藤優 ]
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■ヒトコト感想
どのような仕事でも人と接する機会はあるだろう。対人スキルは常に重要視されるが、本作では人に強くなる極意を作者流にアレンジして説いている。人に強くなるためのベースとして、基本的な社会人としての行動ができていることが前提となっている。引きこもりや社会不適合者は対象にしていない。そのため、ある程度普通に社会生活を送れていて、それなりに仕事をしているが、さらに対人スキルを高めたい人に向けての作品だろう。

作者のように他国との外交交渉や政治家や官僚たちとやりとりするなんてのは、一般的にには当てはまらない。が、上のレベルの心構えを読んでいると、それよりも下の対象者と相対する時に落ち着いて対処できるということなのだろう。

■ストーリー

どんな相手にも「ぶれない」「びびらない」「怒らない」――。ビジネスでも人生でも、人と相対したときにどう振る舞えるかが結果を大きく左右する。いつでも最高のパフォーマンスをするには、どんな心持ちでいることが重要なのか。外国の要人、日本国首相、そして特捜検察などに対してギリギリの交渉力を発揮してきた著者が、現代を“図太く"生き残るための処世術を伝授する。

■感想
印象的な記述は多々あるが、中でも逃げることの重要性については意外な記述だったため、印象に残っている。作者の性格上、嫌なことや困難なことにも立ち向かう必要があると熱弁するのかと思いきや、立ち向かい、精神を病むくらいなら逃げるべきと説いている。

確かに厭な上司や、どうしようもない同僚など避けるべきものは避けたい。作者が言うには、上司の言葉にいちいち反論するよりも、その場はさらりと受け流せば良い。という考え方らしい。このあたりは非常に意外な記述だとびっくりした。

作者は拘置所に入れられ検察と長期間に渡る対決をしてきた人物だ。そのため、言葉のひとつひとつは実体験によるところが大きいのだろう。相手を信頼することの重要性と、こちらの主張がぶれないことの必要性。

簡単に書いてはいるが、あっさりと虚偽の説明を認め、執行猶予で出ることもできたのに、あえて自分の信念を曲げず、ひたすら検察と戦い続けることのすさまじさ。今は作家として成功してはいるが、一歩間違えると地獄の生活がまっていたような状況にも恐れずに突き進む。この信念がすさまじい。

基本的には作者が外交官としてギリギリの交渉力をはっきしてきたことがベースにある。そのため、対人スキルのレベルは常人が想像するよりもすさまじい領域の部分が描かれている。作者のような考えで対人関係を構築するのは難しいだろう。

ただ、ビジネスでもそれなりに役立つことがあるのは間違いない。そして、なにより作者から逃げても良いと言われるのは非常に心強い。無駄に上司に反発したり、勝てない戦に挑むよりは、嵐が過ぎ去るのをじっと待つのも必要なのだろう。

本作を読んだからといって、必ず対人スキルがアップするわけではないが、参考にはなる。



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