2017.10.2 刑務所長が信じた理由 【グリーン・マイル5】
グリーン・マイル 5 / スティーヴン キング / 新潮社
評価:3
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■ヒトコト感想
コーフィの能力とドラクロアの悲惨な死が描かれた前作。そこから、コーフィーの力で、脳腫瘍で苦しむ刑務所長の妻メリンダを治療しようと考える。堅物な署長に妻を刑務所に連れてこいと言うのは難しいということで、どうにかしてコーフィをメリンダの元に連れて行くことを考えるポール。
それまで、どちらかと言えば安全な方へと物事を選択してきたポールが、ここにきて大博打に出る。この大仕事に賛同しないパーシーのみ縛り上げ、その他のメンバーでコーフィをメリンダの元に連れて行く。コーフィは見た目が巨大な黒人だが、中身は繊細だということがわかる。コーフィの特殊な能力を信じる者たちだけが所長の元に真夜中に訪問するという危険な賭けにでる。
■ストーリー
死刑囚ジョン・コーフィは、少女殺しの犯人ではないかもしれない。それにコーフィには奇跡を起こす不思議な力がある―ドラクロアの鼠を生き返らせたのを目撃していた同僚の看守たちは、ポールの説明を信じた。そして脳腫瘍で死に瀕している刑務所長の妻を、コーフィに治療させるという計画を実行に移した。だが、その癒しの手が効力を表わした夜が、悪夢の始まりだったのだ…。
■感想
コーフィの能力に気づき始めたポールたち看守。脳梗塞で苦しむメリンダを助けようとコーフィの能力を使うことを考える。そこでハードルとなるのが、コーフィの能力を所長が信じてくれるのかということと、コーフィをどのようにしてメリンダに会わせるかということだ。
巨大な黒人の死刑囚となると、それだけで恐怖の対象となりえる。そんなコーフィを刑務所の中から連れ出すことができるのか。様々な困難を乗り越え、邪魔者になるであろうパーシーを始めから排除することで、コーフィを連れ出そうとする。
メリンダの状況はすさまじい。脳腫瘍によりメリンダの人格は崩壊し、激しく歳をとったように見える。それでいて意味不明で下品な言葉をひたすら吐き続ける。そんな状態のメリンダをコーフィはどのようにして治療するのか。
病理の部分をコーフィが吸出し、大量の虫として吐き出す。なぜコーフィがそのようなことができるのか。また、コーフィの能力としては、相手を見るだけでその原因を見つけ出し、治す方法を見つけ出してしまう。コーフィの能力のすさまじさが認識できる部分だ。
メリンダを治療するためにはいくつかハードルがある。最も高いのは所長にコーフィの能力を信じ込ませることだ。双子の少女を殺した巨大な黒人の死刑囚が医者にみえるわけもない。夜中におしよせた者たちとメリンダを会わせるのは、普通ならばありえない。
それが偶然にも可能となったのは、メリンダの病状が悪化しており、所長では手の施しようがなく、所長自身がまいっていたからだろう。そんな時、嘘が本当か、メリンダを治せるという黒人が現れたとしたら、藁にもすがる思いなのだろう。
コーフィがメリンダを治療する場面は強烈だ。
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