2017.9.10 ネズミと死刑囚の結末の違い 【グリーン・マイル4】
グリ-ン・マイル 4 /新潮社/スティ-ヴン・キング (文庫)
評価:3
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■ヒトコト感想
前巻でパーシーがドラクロアの飼う鼠であるミスタージングルスを踏み殺す衝撃的な展開だった。本巻では、コーフィーの特殊能力がついに看守の目の前で披露される。瀕死の鼠をコーフィーが生き返らせる。それも看守たちの目の前で。その衝撃が冷めやらぬまま、ドラクロアの悲惨な死刑執行が行われることになる。
パーシ―の恨みからくる行動だが、パーシーが想像するよりも悲惨な結果となる。仕掛けたパーシー自身がドラクロアの惨状を目の前にしてオロオロしてしまう。コーフィーの特殊能力とパーシーのおろかな行動が物語のメインとなっている。コーフィーの特殊能力が判明したため、コーフィーを利用しようとする勢力がでてくるのだろうか。
■ストーリー
雷鳴の轟く嵐の夜、賢い鼠の飼い主だった死刑囚ドラクロアの処刑が行われた。その陣頭指揮を取ったのは、彼を目の敵にしている残忍な性格の看守パーシー。電気椅子での死刑執行において、ある大切な手順を省くことで、パーシーは身の毛もよだつような醜悪なかたちで復讐を遂げることになったのだ。恐ろしく忌まわしい処刑のあと、ポールは危険きわまりない大勝負を考えついた―。
■感想
パーシ―が踏み殺したはずのミスタージングルスは、コーフィーの謎の能力により甦る。大喜びするドラクロアと看守たち。信じられない面持で立ちすくむパーシー。このことが囚人たちに馬鹿にされたという思いをパーシ―に抱かせ、結果的にドラクロアへの仕返しへと繋がっていく。
コーフィーの特殊な能力を目にして、周りの者たちがコーフィーをどのように扱うのか。見た目が黒人の大男という風貌なだけに、暴力的な印象がある。さらには、刑務所に収監された理由からして、危険な人物というイメージが変わっていくことになる。
ドラクロアに馬鹿にされたパーシーが、ドラクロアに復讐することになる。これが本巻のメインだろう。死刑執行されるドラクロアに対して強烈な仕打ちをする。結果としてドラクロアは悲惨な状況となる。ことを起こした張本人のパーシ―は、自分がしでかしたことに右往左往する。
パーシ―の愚かな行動と、その先にあるドラクロアの悲劇。コーフィーの奇跡と相対するような流れが象徴的だ。看守たちは、ミスタージングルスの奇跡を目の当たりにし、その後すぐにドラクロアの悲劇を目の当たりにする。
コーフィーの特殊能力で人を助けようと考える者がでてくる。となると、死刑囚をどのようにしてその人物と引き合わせるかが問題となる。ただでさえ巨大な黒人が、死刑囚であるならば、外にでることは不可能だ。コーフィーの真実をうっすらと感じ始めているのはポールだけ。
そもそもコーフィーが収監されるきっかけとなった事件すらポールは疑い始めている。コーフィーの特殊な力がどのような原理で発生するのか、どんな効果があるのはわからない状態でも、人は何かにすがりたい気持ちがあるようだ。
ドラクロアとミスタージングルス。それぞれの結末の違いが印象的だ。
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