グリーン・マイル3 


 2017.8.29      4巻への強烈な引きの強さ 【グリーン・マイル3】

                     
グリ-ン・マイル 3 /スティ-ヴン・キング/スティ−ヴン・キング
評価:3.5
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■ヒトコト感想
看守主任のポールがコーフィの能力により尿路感染症が治る奇跡が起きる。コーフィーに何かしら秘密があることを匂わしつつ、物語はすすんでいく。強烈なのは、やはり刑務所内での出来事だ。ウォートンが暴れまわり、パーシーはウォートンに掴まれ殺されると思い漏らしてしまう。それを笑うドラクロア。ここでパーシーとドラクロアの関係はその後の悲劇へと繋がることになる。

閉鎖された空間で、明らかに立場の上下があるとしても、恥をかかされた者の怒りはすさまじい。皆の前で笑いものにされれば、なおさら怒りは増大することになる。パーシ―の怒りはドラクロアが大事に飼っているミスタージングルスに向かうのは必然だろう。次巻の展開がどうなるか、強烈な引きの強さがある。

■ストーリー
妊婦ら四人を殺害した兇悪粗暴な男ウォートンは死刑囚舎房にやってくるなり看守のひとりを殺しかけた。看守主任を務めるポールは、その日持病の尿路感染症が悪化し、激痛に苦しんでいたのだが、なんとか騒ぎを鎮めた。その後、いつもおとなしい大男の死刑囚コーフィが、なぜか懇願するようにポールを独居房内に呼び入れ、下腹部に手を触れてきた。そして次の瞬間、奇跡が起きた…。

■感想
尿路感染症に苦しむポール。コーフィーがポールの下腹部に手を当てると、次の瞬間、痛みがすっきりと消えてなくなった。コーフィーのおかげで尿路感染症が治ったのか半信半疑なポールは、コーフィーが本当に犯罪を犯したのか調査することになる。

客観的事実では、コーフィーが可愛らしい双子の女の子を殺したことに間違いはない。ただ、そこになんらかの理由があるのではないかとポールは考える。コーフィーの存在感は1~3巻では薄い。他の濃いキャラクターたちに負けているという感じだ。

荒くれ者のウォートンが物語のカギとなる。いずれは死刑になるとはいえ、常に反抗的で暴れることをやめない男。ついにはパーシーに襲いかかりパーシーの首を絞めようとする。実際に殺そうとはしないまでも、パーシ―は死の恐怖を感じ漏らしてしまう。

このことがドラクロアやウォートンに笑われ、パーシーのプライドを激しく傷つけることになる。その後のストーリーがわかっているだけに、ストーリーの巧みさに驚かされてしまう。パーシーがドラクロアと決定的に対立するきっかけは、ウォートンが作ったということなのだろう。

ラストではドラクロアが大事に飼っていたミスタージングルスに悲劇が訪れる。ポールやその他の者たちではどうすることもできないほどの一瞬の出来事。死刑執行が間近に迫ったドラクロアにとって、最も心配の種であったミスタージングルスだが、その心配は大事にしていたからこそ。

それが目の前で…。非常に残酷な展開だ。その後、ドラクロアに降りかかる悲劇の前ふりとしては十分すぎるほどだ。看守失格のパーシ―が、完全なる私恨によりドラクロアに悲劇をふりそそぐ。

4巻への強烈な引きの強さがある作品だ。



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