グリーン・マイル1 


 2017.8.2      謎の能力をもつ死刑囚 【グリーン・マイル1】

                     
グリーン・マイル(1) ふたりの少女の死 新潮文庫/スティーヴン・キング
評価:3
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■ヒトコト感想
映画版を見ているので、だいたいのストーリーは把握している。スティーヴン・キングの刑務所を舞台とした作品は「ゴールデンボーイ」に収録されている「刑務所のリタ・ヘイワーズ」がすばらしかった。本作も刑務所という密閉された空間でのやりとりが秀逸だ。看守目線で語られる本作。巨大な肉体をもつ死刑囚のコーフィがやってくることからスタートする。

コーフィが死刑囚となるきっかけとなった事件は衝撃的だ。今の段階ではコーフィはただの異常者でしかない。刑務所で起こる様々な不思議な出来事が物語を盛り上げる。第1巻では死刑囚の状況と、コーフィの登場、そして、不思議なネズミの存在などが語られている。

■ストーリー
時は1932年、舞台はアメリカ南部のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房。この刑務所で死刑囚が電気椅子にたどりつくまでに歩く通路は、床が緑のリノリウムであることから、通称「グリーン・マイル」と呼ばれている。ここで起こった驚くべき出来事とは?そして電気椅子の真の恐ろしさとは?

■感想
死刑囚だけが収監される刑務所を舞台とした本作。看守のポールが目にするファンタジーが描かれている。映画版を見ているのでストーリーにはすんなりと入り込めた。双子の少女殺人罪で収監されたコーフィ。2mを越える巨体だが大人しい性格。看守のポールとコーフィの交流が本作のメインとなる。その前段階として刑務所の実情や嫌な奴の存在。そして、電気椅子へと向かう死刑囚との交流が描かれている。

いつ死ぬかわからないが、確実にいつか電気椅子がまっている状態は非常に辛い。それだけに、他の刑務所よりも若干死刑囚たちは優遇されているような気がした。

死刑判決がでるほど陰惨な犯罪を犯した者たち。ポールたちが対応するのは常に死刑囚だけ。ただ、死刑囚たちが電気椅子へ向かう時だけ、死刑囚の頼みを何も言わず聞くことになる。刑務所内で巻き起こる不思議な出来事。

手始めには、まるで知能をもつようなネズミが登場してくる。映画版により、おおまかなストーリーは把握しているが、細かい部分は覚えていないので、本作を十分楽しめている。ポールが目にする数々の奇跡の前段階としての登場人物紹介といったような巻なのだろう。

残酷な看守のパーシ―や、死刑囚のドラクロア、そして、ドラクロアが飼うミスターシングルスという名のネズミ。看守と死刑囚という明らかな立場の違いや、いずれ死刑されるはずの者たちの精神状態。物語としてはコーフィの事件の真実や、看守たちのコーフィに対する対応など様々な要素がある。

その他にもパーシ―と仲の悪いドラクロアが死刑される際の事件など、非常に強烈な場面もあるのだろう。作者が描く刑務所を舞台とした物語の、面白い要素が凝縮されている作品だ。

細かく巻数が分かれているのも、連続ドラマを見ているようで良い。



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