ガール


 2016.3.4      ガールの気持ちを忘れない女たち 【ガール】

                     
ガール DVDカジュアルスタイル【通常版】 [ 香里奈 ]

■ヒトコト感想
原作はかなり印象に残っている。映画化してうまくまとめており、原作の面白さは表現できているのだが、映画的に登場人物たちに無理やり繋がりをつける部分が余計なように思えた。女はいつでもガールの気持ちを忘れないということなのだが、若干原作とテーマが異なっている。特に、子持ちのシングルマザーについてはテイストが変わっている。

子持ちということで仕事上で何かと優遇されることが逆に厭だという話のはずが…。明るく前向きで女性として楽しく生きるということに主眼を置かれているようだ。原作でのあるある感いっぱいな流れからはかなり離れてはいるが、原作の面白い要素は十分に表現されているので、映画作品として楽しめたのは間違いない。

■ストーリー

由紀子(香里奈)、聖子(麻生久美子)、容子(吉瀬美智子)、孝子(板谷由夏)は、勤める会社も年齢も違うけれど、なぜか気の合う親友同士。大手広告代理店に勤める由紀子は、おしゃれが大好きな29歳。しかしガールとしての曲がり角を迎え、恋人の蒼太(向井理)ともしっくりいかず、30歳を目前に迷いや苛立ちを感じる日々。

聖子は、会社で女性管理職に抜擢されるも年上の男部下・今井(要潤)と衝突、夫の博樹(上地雄輔)は給料もキャリアも妻の方が上であることを全く気にしないそぶり。文具メーカーに勤める容子は、30歳もとうに超え、おしゃれも恋愛も諦めかけていた時に、一回りも年下のイケメン新入社員・慎太郎(林遣都)に出会う。

シングルマザーの孝子は、3年ぶりに仕事に復帰し、仕事と子育てに奮闘するも、自分の頑張りがどんどん空回りしていくのを感じている・・一見、それぞれ自立し、自分らしく人生を謳歌しているように見える彼女たち。4人は女が生きていく上で迫られる様々な選択に、迷い・悩みながらも、懸命に人生と向きあおうと奮闘していくのだが--

■感想
原作を読んだ印象では、30代の女性が読んだらどのように感じるか、という疑問と楽しさがあった。何よりも、リアルな雰囲気が良い。リアルといっても男が想像する範囲の話だ。映画化され、そのあたりは男目線というよりも、女性目線が強く、女子に媚びているように思えた。

4人の登場人物たちそれぞれがいろいろと悩みを抱えている。主役は広告代理店勤務の由紀子なのだが、いい年して若作りをしているという流れになっている。ただ、業界が業界だけに若作りも当然で、納得できる流れではある。ただ、オチがマンガ的なのは否めない。

最も印象に残ったのは、一回りも年が離れた部下をもつ容子のエピソードだ。若いイケメンが部下についたが年齢が一回り離れている。となると冷静にどこか距離を置いてしまう。ただ、容子の行動がいちいち面白い。意識しないふりをしていても、周りからはバレバレ。

それでいて、ひとり心の中でモンモンとする。この流れはまさに原作と同じだ。映像化されるとより容子の滑稽さが目立ってしまう。現実にはこんな女性はいないのだろうが、いかにもいるような感じで描いているのが面白い。

シングルマザーの孝子のエピソードだけは納得できない。父親がいない子供のために自分が父親代わりになる、というそれだけで終わっている。実際には、子供をもつ母親が働く際の周りの男たちの気の使い具合なども描かれるべきだ。

子供が風邪を引いたと言えば、早退することに誰も文句は言えない。女が生きていく上でぶち当たる問題に対して答えている作品と言えるのだろうが…。限定的な面白さはある。女子の気持ちを忘れない、という意味を本作を見ることで思い出す女性はいるのだろうか疑問だが…。

原作の面白要素はそれなりに表現されている。



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