銀の匙 Silver Spoon


 2016.5.10      農業高校青春物語 【銀の匙 Silver Spoon】

                     
銀の匙 Silver Spoon DVD並盛版 [ 中島健人 ]

■ヒトコト感想
人気マンガを原作とした本作。原作は読んだことはない。内容的には農業高校での青春物語だ。農業の現実と命の大切さが描かれている。ふと「ブタがいた教室」を思い出した。小学生に対してブタを食べるために飼うということを描き、小学生に対しては残酷だと感じた。

本作では対象が高校生で、主人公であっても現実を理解している。が、頭で理解していても、目の前で可愛らしい子ブタを見たあとに、豚の生姜焼きを食べることができないナイーブさを表現している。農業高校の実情は興味深い。生命の尊さや食べるために豚を飼育することの必要性もしっかりと描かれている。ただ、速足で後半はバタバタとばんえい競馬へと移行していくあたり、無理やり感は否めない。

■ストーリー

北海道の農業高校に入学した主人公が、酪農実習や部活に苦悩しながらも仲間たちと絆を深め、農業をめぐる理想と現実のはざまで葛藤しつつ命の大切さを学んでいく。

■感想
エリート中学から農業高校へ進学した主人公。農業高校の現実が描かれており、食べるために豚を飼うことへの苦悩を主人公が感じている。豚や鶏をしめて食肉にするシーンもある。そのものずばりを描いてはいないが、人間は動物を殺して肉をエネルギーとしていることを表現している。

頭ではわかっていても、現実に拒否反応を示すのは当然だろう。主人公がかわいがっていたブタが出荷されるとき、自分でその肉を買うと言いだす。センチメンタルに生きたまま飼うというのではなく、食肉を買うことに意味があるのだろう。

生命の大切さを描いているのはよくわかる。それと共に、農業の厳しさも描いている。同級生の実家が農家を廃業する。資本主義社会としてはどうしようもないことで、理想ばかりを追い求めていても生活は成り立たない。厳しい現実が描かれている。

綺麗ごとで皆が協力して助けるなんて流れにならないのが良い。誰も助けることができない、というのが本当の現実なのだろう。物語の後半では、ばんえい競馬がメインとなる。そこで農業高校の青春具合を表現するために、皆で協力して競馬場を作ろうとする。

北海道の雄大な大地でのびのびと育つ高校生たち。農業高校の高校生のたくましさというか、教師を含めてどこかおおらかな部分がある。印象的な言葉としては、夢がないことは良いという言葉だ。つまり、夢がないということは、今後、なんでも夢にできるということなのだろう。

とりたてて農業に興味がなくても、惹かれてしまう。他の動物の命をもらって自分たちは生きているという当たり前のことを改めて認識することは間違いないだろう。農業高校の女子のたくましさもまた印象的だ。

くだらないイジメやストレスはなさそうだ



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