フィッシュストーリー


 2015.12.6      繋がりがはっきりすると妙に感動する 【フィッシュストーリー】

                     


■ヒトコト感想

原作を読んでいるが、映画作品として原作よりもわかりやすい作りになっている。複数のエピソードが連動しており、時系列はバラバラに登場してくる。そのため、観衆はなんとなく関連があるのだろうという印象を持つのだが、明確な答えを導きだせずにただ漠然とみるしかない。地球が滅びる最後の日に、奇跡的に地球は救われる。地球を救ったのは…。

ラストですべてのエピソードが実は繋がっていたとはっきりわかる。この流れであれば最後に感動がおしよせてくるのもよくわかる。原作よりも理解しやすいし入りこみやすい。ただ、個別のエピソードについては、なんてことない物語なので、全体として評価すべきだろう。それにしても、作中に登場する「逆鱗」の歌はかなりのあいだ頭の中にこびりついてはなれなかった

■ストーリー

1975年 早すぎたパンクバンド「逆鱗」は世間に理解されないまま解散へ向かおうとしていた。彼らは最後のレコーディングで「FISH STORY」という曲を演奏する。1982年 気の弱い大学生は「FISH STORY」の間奏部分に「女性の悲鳴が聞こえる」という噂を聞く。さらには出会った女性に「いつか世界を救う」と予言され・・・。

2009年 修学旅行中に眠り込んでフェリーに取り残された女子高生は「正義の味方になりたかった」コックと出会う。その直後、二人はシージャックに巻き込まれる。2012年 街が静まり返るなか、営業中のレコード屋の店長は「地球が滅亡する日でも好きなレコードを聴いていたい」と、「FISH STORY」に耳を傾けている。「FISH STORY」という曲の間奏には、なぜ1分間の無音部分があるのか?果たして、2012年地球は滅亡してしまうのか?時空を超えてすべてがつながった時、想像を超える爽快なラストがおとずれる!!

■感想
個別のエピソードは、それ単体としてはあまり面白くない。というか、意味がよくわからない。時系列的に順番にエピソードがえがかれているわけではないので、最後までつながりはよくわからない。ただ、現代では、世界は滅亡に向かっているというのはよくわかる。

FISH STORYという歌がポイントとなっているのはわかる。そのため、パンクバンドの「逆鱗」がひたすらFISH STORYを歌うのが妙に印象に残っている。曲として特別優れているとは思わないが、勢いというかその個性のためか、あるフレーズがしばらくの間、頭にこびりついてはなれなかった。

個別のエピソードで印象深いのは、正義の味方になりたかったコックが登場するエピソードだ。なぜ正義の味方なのだ?という疑問は他のエピソードにより解決されるはずだが…。基本的にシリアスな場面でも、どこかコメディの要素が抜けきっていない。

そのため、フェリーをジャックされたとしても、犯人たちの言動には面白要素が含まれている。正義の味方の活躍により、世界を救う予定の女子高生の命が救われた。紐といていけば、コックが正義の味方を目指したのは、FISH STORYのおかげということなのだろう。

ラストで今まですべてのエピソードが時系列に整理され、FISH STORYという曲で繋がる物語がダイジェストで描かれている。世界を滅亡の危機から救ったのは…。細かく見れば、それは強引なのでは?と思う繋がりもある。ただ、その先にあるのは、妙な感動だ。個別には関係のないエピソードが繋がってひとつになる。

この手の脚本はそれなりに存在するが、すばらしくよくできている、というレベルではないが、それなりにまとまっていると感じた。そもそも原作にそこまで面白さを感じなかったので、映画作品としてはわかりやすい分よかったのだろう。

この手のパターンは、すべてを集中して見る必要がある。



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