2016.2.5 ひとつの作品を作り上げる大変さ 【エンタテインメントの作り方】
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■ヒトコト感想
貴志祐介が描く小説の書き方講座。基本は作者の作品をベースとし、どのような方法で小説を書くのか、そして何に注意して描くのかが書かれている。小説家志望の人にはかなり参考になることだろう。そして、作者のファンであれば、作者がどのような思いで作品を描いているのかがよくわかるだろう。
アイデアを作品へと昇華させることの大変さや、新人賞をとるまでにプロの編集者による推敲がどれだけ役にたつのか。長編作品は短編を組み合わせて描くなど、作者独特の考え方が描かれている。エッセイではないので、作者の日常にはふれることはできない。ただ、どのようなスタンスで小説に向き合っているのかがよくわかるのは間違いない。
■ストーリー
ホラー、ミステリ、SFのジャンルで文芸賞を受賞し、『黒い家』『青の炎』『悪の教典』と年代を超えてミリオンセラーを出し続ける著者は、どのようにしてアイデアを収集し、物語を紡いでいるのか。読者の心を鷲づかみにするストーリー展開の秘訣とは?影響を受けた作品、創作の裏に秘せられていた真の企みなどを一挙公開!!
■感想
小説を書くためには、何をしなければならないのか。各章にそれらが描かれている。自分は別に小説家志望ではないので、別の部分に着目してしまった。作家になるには、それなりの読書量が必要だということ。作者が子供のころにどのような作品を読み、何を印象的に思っていたのか。
SFやミステリーが好きで、小学生時代には一日一冊は読んでいたという衝撃的な事実。作家となってからは趣味の読書ができないなど、読書の大切さや情報をインプットすることの重要性が描かれている。
作者の既刊を例に出しての説明は非常に興味深い。特に「黒い家」は、作者自身の実体験が作品のベースとなっていることに驚いた。生命保険会社に勤務していたからこそ、あのリアリティがだせたのだろう。作者の作品は多種多様だ。
一部シリーズ化されている作品はあるが、ほとんどがまったく毛色の違う作品となっている。それらの作品をどのように描いたかというと、膨大な情報収集と調査、そして日々メモを取り続けることで貯めたアイデアによるところが大きいのだろう。
本作を読めば小説家へなれるわけでもない。ある程度の水準にまで達していないと、作者のアドバイスは有効ではないのだろう。ただ、プロの作家がかなりの時間を事前の調査や、完成させたあとの推敲にかけていることからわかるように、とんでもない労力でひとつの作品を作り上げたのだということがわかる。
安易に小説家になろうという人は、本作を読むことで気が引き締まるかもしれない。本気の人は、本作からよりパワーを受けて、作品づくりの大きな力となるのだろう。
作者の作品すべてが高いクオリティーをもつその理由がわかった気がした。
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