コードネーム U.N.C.L.E


 2016.10.11      演出で特別感をだすスパイ映画 【コードネーム U.N.C.L.E】

                     


■ヒトコト感想
久しぶりのガイ・リッチー作品だ。昔ほどのぶっ飛んだ展開ではないが、オシャレな会話や演出は健在だ。大昔のスパイ映画をリメイクした本作。米ロのスパイが協力し核兵器テロを防ぐという、あくまでも米ソ冷戦が根底にある作品だ。今見ると設定的に??な部分もあるが、演出の面白さでカバーしている。特にアクションシーンの映像はすばらしい。

カーチェイスシーンでは、まるでグーグルマップでズームイン・アウトをくりかえすように、逃げる車をアップしたかと思うと、全体地図が表示され、追いかける車へズームする。車が併走するシーンでも、独特の映像は強烈だ。登場キャラクターも特徴的だ。特にソロは、ひたすら紳士的で落ち着いた雰囲気が良い。拷問にかけられたとしても落ち着いているのはすばらしい。

■ストーリー
「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督によるスパイアクション。全世界を巻き込む核兵器テロが勃発。何もかも正反対のCIAのNo.1スパイ・ソロとKGBのNo.1スパイ・イリヤが手を組み、世界を救うべく奔走する。

■感想
シャーロック・ホームズ」でも感じたことだが、監督はロシア人が好きなのだろう。必ず力強いロシア人が登場してくる。本作では粗暴なロシア人ではなく、知的なスパイとして活躍している。ソロとイリヤのコンビは最初は敵対関係にあったのが、いつの間にか同士として共闘している。

ある時はイリヤのピンチをソロが助ける。ただ、イリヤがボートで追いかけまわされているときに、ゆっくりと音楽をかけながらワインとサンドイッチを食べるソロというのが良い。頃合いを見て助けに向かうソロがかっこよすぎる。

イリヤは、最初は粗暴で筋肉バカのイメージがあったのだが、後半は自制心が働きスパイとして的確な動きをしている。ソロが拷問されている場所へ助けにくる。そこでのあべこべに相手に拷問を仕掛けるのだが、この後のやりとりが秀逸だ。壊れかけた拷問道具が、なぜか急に直り、行き過ぎた拷問で相手が死んでしまう。

イリヤとソロが立ち話をしている間というのが良い。この手のちょっとしたオシャレな雰囲気が本作の特徴だろう。薬入りのブランデーを飲み、自分が騙されたと知ると、ゆっくりソファーに横になるソロ。気を失って怪我するのを防ぐためらしい。なんともかっこよい。

本作の任務を達成した後に、チームU.N.C.L.Eが結成されたという流れだ。チームとしては非常に個性豊かで面白そうだが、恐らく続編はないのだろう。ソロのジェームスボンド的な立ち居振る舞いも、一回目は珍しさもあり興味がわくのだが、マンネリ化するとつまらないだろう。

イリヤも同じだ。新しいものを取り入れた作品だというのはよくわかる。キャラの会話も小粋でおしゃれなのも良い。ただ、スパイ映画としてのインパクトは足りない。ありきたりなスパイ映画だ。

演出で個性をだしている作品だ。



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