Classical Fantasy Within 第2話 島田荘司


 2015.4.12      人を複製する秘密兵器 【Classical Fantasy Within 第2話】

                     
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■ヒトコト感想

第1話では秋水の強烈な実験飛行の描写があり、そこから怪力光線砲の真の目的が語られていた。本作では、ついに怪力光線砲を使い「ぼく」の望みである母親を複製しようとする。まずは怪力光線砲の詳細な描写から始まり、とんでもない巨大な兵器だというイメージを植え付ける。そこから、雷の電力を蓄積し動力とする描写が続く。

不安定な状態で、まずは雑誌での実験が成功し、その後ついに…。人を複製するという禁断の行為がなされた時、どのような結末となるのか。怪力光線砲による実験結果により、「ぼく」の母親はどうなったのか。結果は失敗だったが、母親は無事に戻ってきた。しかし、その母親には…。戦時中ということと、禁断の行為による奇妙な不気味さがある。

■ストーリー

大戦末期、日本全土を空襲し続けるB29を撃墜すべく極秘に開発された日本陸軍の最新秘密兵器・怪力光線砲。しかしその真の姿には、誰もが予想だにしなかった“ある目的”が隠されていた―!?研究者・「ミツグ伯父さん」の手によって鳴り響く雷とともに装置が発動した瞬間から、めくるめく数々の怪異が「ぼく」を襲う。

■感想
怪力光線砲の真の力はどのようなものなのか。すべての生物を複製してしまう禁断の兵器。雑誌の複製に成功し、その後、「ぼく」の母親を複製しようとするのだが…。「ぼく」が母親を複製したい気持ちはわかる。ただ、いざその段階になると不安になるのもわかる。

常識的に考えて人が複製されるというのは、どのような原理なのか、そして、複製された本人には痛みや苦しみはないのか。不安のまま怪力光線砲により複製される母親は…。実験は落雷により失敗という結果となる。恐ろしげな雰囲気を感じずにはいられない。

実験は失敗したが無事戻ってくる母親。が、その母親の様子がおかしい。怪力光線砲による複製実験の失敗は、人にどのような影響を与えるのか。このあたり、ひたすら「ぼく」目線のため、詳細な説明がいっさいない。そのため、母親の奇妙な言動や、まるで幼児返りしたような行動の数々には奇妙な恐ろしさが付きまとう。

読者は「ぼく」と同じように、母親に何が起こったのかわからないまま、物語を読みすすめるしかない。戦争中の厳しい食糧事情や、周りの村人たちと「ぼく」との複雑な関係など、「ぼく」周辺の複雑な状況が、先を見えなくさせている。

「ぼく」の母親の状態はどのような状態なのか。本作では怪力光線砲での実験から、母親の状態がおかしくなるまでが描かれている。本作のラストでは、まるで夢オチのように「ぼく」が目を覚ますと、目の前には普通の母親の姿がある。単純に「ぼく」が悪い夢を見ていたのか、それとも…。

なんとも謎だらけの回だ。今後、怪力光線砲がどのような役割を果たすのかまったく先が見えない。戦時中というのが何か大きなカギとなるのだろうか。先が気になる物語であることは間違いない。

第3話でどのような流れとなるのか、まったく想像がつかない。



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