あしたのジョー


 2015.1.26      原作に忠実? 【あしたのジョー】

                     


■ヒトコト感想

マンガは未読。映画版のアニメはかすかに記憶がある程度。ただ、内容はだいたいわかっている。そんな状態で見る実写版は、確かに俳優たちの鍛えられた肉体はすばらしい。本物のボクサーさながらに減量を行ったのだろう。肉体的なインパクトはすさまじい。特に力石の軽量シーンはCGが使われているとしても、その鬼気迫る表情はインパクト抜群だ。

俳優たちの努力は画面から伝わってくるが、それが直接面白さに繋がるかというと微妙だ。アニメ原作ということで、ボクシングシーンがどうにもマンガ的だ。一番のポイントであるボクシングシーンがダメだと、なんだかすべてが嘘くさく見えてしまう。マンガに忠実なのも良いのだが、難しいところだ。

■ストーリー

昭和40年代、東京の下町でケンカにあけくれ、殺伐とした生活を送っていた矢吹丈が、元ボクサーの丹下段平にボクサーとしてのセンスを見出され、またエリートボクサー・力石徹との出会いによって、ボクシングの道を歩んでいく…。

■感想
どれだけ原作に忠実なのかわからないが、ファンは喜んで見たのだろうか。減量のすさまじさは俳優たちの努力によりしっかりと表現されている。ただ、肝心のボクシングシーンはというと…。ノーガード戦法というのがあるのは知っていたが、どうなのか。

これがなければ原作に忠実とは言えないのはわかっている。マンガ原作の宿命として、マンガでは楽しめるシーンでも、実写にした瞬間、なんだか陳腐に見えてしまうものがある。同じボクシング映画でも「ボックス!」は、かなり迫力あるボクシングシーンだった。

俳優たちの肉体改造はすばらしいが、演技はどうなのか。香川照之はさすがの存在感を放っていたが…。げっそりと痩せ細った伊勢谷友介のインパクトある表情はすさまじい。ボクサー=減量の辛さというのを刷り込まれた原作だけに、このあたりがメインとなるのだろう。

計量シーンでのありえないような脇腹の骨の浮かび上がり方は衝撃的だ。CGを駆使したのだろうが、ちょっとやりすぎでは?と思えてしまう。明らかに普段の力石と骨格から違っているように見えてしまった。

世間的には力石との戦いが有名なのだろうが、個人的にはその先の物語の方が印象深い。興行的にどの程度本作がヒットしたのかわからないが、どうせならホセ・メンドーサとの戦いまで描いてほしかった。さらに言うなら、ジョーがもう少し口数を多くしてほしかった。

原作の印象では、口を開けば暴言や女性に対する侮辱的な発言ばかりだったが、どこか憎めないキャラだった。本作ではただのネクラな兄ちゃんでしかない。逆に言うとストイックさはすさまじく表現されている

原作ファンがどんな印象をもつのか微妙だ。



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