アンマーとぼくら  


 2017.1.31      わがままで子供っぽい父親 【アンマーとぼくら】

                     
評価:3
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■ヒトコト感想
沖縄の方言で母親のことをアンマーと言うらしい。複雑な家庭環境で育ったリョウが大人になり思い出の地である沖縄で、継母への親孝行として沖縄を観光旅行するのだが…。親子関係の物語だ。率直な感想としては、有川浩風ではなく、重松清の作品かと思ってしまった。

ひとり目の母親が亡くなり、父親が沖縄から再婚相手を見つけてくる。それも母親が死んで1年後のことだ。となると息子としては父親に怒りたくなる気持ちもよくわかる。本作ではリョウが継母に親孝行するという流れなのだが、父親がもうひとりの子供のようにわがままで自由だということもポイントだろう。SFの要素もありつつ、成長した息子が当時の親の気持ちをふりかえる物語だ。

■ストーリー
休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。

■感想
休暇で沖縄に帰り、継母との3日間の島内観光をするリョウ。母親を幼いころに亡くし、その悲しみが冷めやらない中で父親が沖縄で再婚すると言いだす。北海道に住んでいたリョウからすれば寝耳に水であり、母親のことをあっさりと忘れて再婚しようとする父親に怒りを覚えるのは当然だろう。

リョウは過去を回想しつつ、当時の父親の気持ちを考えようとする。が、客観的に見るとリョウの父親の非常識な行動というのは否めない。子供のことを想えば、再婚というイベントは最も子供に神経を使わなければならないことだろう。

継母はそのあたり、リョウのことをよく理解しており、軽率な行動をとる父親をいさめたりもする。作中では父親がもうひとりの子供、ということで終わっている。ひとり目の母親は、そのことをよく理解しており、父親が好き勝手なことをすると想定していたのだろう。

リョウの怒りや、ひとり目の母親の思いを読むとなんだか泣けてくる。そこに継母のリョウを優先する行動を読まされると、さらに心にくる。父親ばかりが傍若無人のように思えるが、実際にはリョウが継母になつかないことに心を痛めているのは確かだろう。

大人になったリョウが沖縄の地で過去の自分と出会う。まさにSFな流れであり、どこか重松清の「流星ワゴン」に近いように感じた。大人となったリョウが、子供のリョウと出会い、若い父親と出会う。そして、意地っ張りな若い父親を殴りつける

まさにタイムパラドックスを無視した流れだが、本作の重要な場面なのだろう。父親、リョウ、継母とそれぞれ思うことがある。父親はひたすら家族が仲良くすることを考え、継母やひとり目の母親に対するリョウの思いを大切にしてあげたいと考えている。

家族の大切さを再認識させてくれる作品だ。



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