2016.7.11 登りつめることを目指す腹黒いアンナ? 【赤毛のアンナ】
赤毛のアンナ [ 真保裕一 ]
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■ヒトコト感想
施設で育ったアンナが成人し事件を起す。アンナの生い立ちから幼少期の出来事、そして赤毛のアンにあこがれをもち、傷害事件を起すに至った経緯を仲間や知り合いが探り出す。まず、不幸な生い立ちにも関わらず、アンナが明るく元気なことがポイントとなる。それでいて少女でありながら大人びた行動をとることから、周りから余計な誤解を受けることになる。
アンナはすべて計算ずくで、自分が利益を得るように行動しているのか。その腹黒い行動の行き着く先が障害事件なのか。物語はアンナの隠れた本性を探るように、元彼や同級生、そして施設の職員目線でアンナが語られることになる。アンナはどのような思いで生きてきたのか、ラストですべてが明らかとなる。
■ストーリー
母を亡くし、施設に引き取られてきた少女・志場崎安那。彼女は持ち前の明るさで、辛い経験を持つ仲間たちを盛り上げていく。十五年後──。突然のニュースが舞いこむ。アンナが男を刺して逮捕された、と。何がアンナにあったのか。彼女と出会い、かけがえのない時をすごした仲間が集まり、奔走をはじめる。やがて、アンナがひた隠しにしていた過去が見えてくる……。
■感想
アンナは腹黒いとんでもない悪女なのか、それとも…。少女時代には、母親が付き合っていた粗暴な男が川で溺れ死ぬ事件が起こる。同じ日に小学生のアンナが川に落ちてずぶ濡れになったことから、男を殺したのはアンナではないか?という疑いがかかることになる。
そこから母親を失い施設に引き取られてからは、施設で明るく暮らす。が、赤毛のアンにあこがれるアンナは幸せな家庭に引き取られることを夢見る。ここでも養子の話が出た際に、アンナの腹黒さが疑われる出来事が起こる。アンナの正体が不明なため、周辺の証言でアンナの印象が二転三転してくる。
施設で育ちながらも、進学しクラスメイトと仲良く過ごすアンナ。男関係での腹黒さを感じさせるエピソードが登場してくる。思春期であれば施設で育つということは、どこか隠したいことのはずだが、アンアはそれを隠さない。
そして、ひとつのことに邁進する姿というのは、見方を変えると、すべてを犠牲にしてどんなことに手を染めてでも登りつめてやる、というような執念を感じてしまう。そこから、社会人となり、上司連中に可愛がられる存在になったとしても、どこか腹黒さを感じずにはいられない。
アンナが傷害事件を起した原因を探ろうと、施設の職員や同じ施設で過ごした友達や同級生たちが協力し合う。そこで、少しづつアンナの本性が明らかとなる。強烈なのは、結婚を考えていた元彼とのエピソードだ。
明るく前向きなアンナも過去を調べられると後ろ暗いところがある。それを無断で調べ、脅すような行為をするのは許せない。アンナがいったいどんな人物で何を考え、何を目的としていたのか、ということが次第に明らかになってくる。
アンナの印象が段々と変わっていくのが面白い。
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