夢を見るために毎朝僕は目覚めるのですー村上春樹インタビュー集1997-2011 


 2014.2.1   創作に対するスタンス 【夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです-村上春樹インタビュー集1997-2011】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

村上春樹のインタビュー集。ファンならばある程度おなじみの内容が語られている。本作の特徴は、海外のインタビューアーの質問に対して作者が答えているということだ。欧米だけでなく中国や韓国まで、作者の世界的人気を裏付けるような構成だ。長編を描く場合は、朝4時に起きて5,6時間集中して書く。その後、ジョギングや水泳をする。

規則正しい生活は、作者のキャラクターと共通する部分がある。健康的で裕福で好きなことを仕事にする。なんの問題もないように思えるが、当然ながら人気作家なりの苦労がある。ノーベル文学賞候補にまでなるくらいなので、海外からの評価が高いことは想像できたが、海外のインタビューアーの言葉を読むと、かなり特別な作家なのだと思わずにはいられない。

■ストーリー

13年間の内外のインタビュー18本を収録。なぜ書くのか、創作の秘密、日本社会への視線、走ることについてなどを語りつくす。

■感想
作者のファンならば、すでによく知る内容がインタビューとして語られている。日本の文学界からは無視されたような形であったが、昨今のノーベル文学賞候補で、一気に地位が上がり、誰も何も言えない、日本ではアンタッチャブルな存在となっている。

対して海外では、最初から高い評価を受けていたようで、インタビューアーのテンションも相当に高い。特殊な作家であることは間違いない。なぜ海外でこれほど高い評価を受けるのかよくわからないが、本作を読むと海外にも熱烈なファンがいることが想像できる。

作者の普段の創作活動が語られている。予想通り規則正しい生活だ。ただ、意外に思ったのは長編作品を書くのにかなりの時間を要しているということだ。毎日真面目に書いていれば数カ月で終わるのかと思いきや、何度も書き直すためそうとうな時間がかかるらしい。

海外で締切のない優雅な創作活動を続けているのかと思いきや、そうではない。毎日、リゾート地でのんびり昼からビールを飲みながら、ジョギングし、ジムでトレーニングを繰り返す。そんなこの世の天国のような姿を想像していたが、内情はかなりストイックだ。

正直言うと、なぜ作者の作品がこれほど支持されるのかわからない。インタビューには創作に対する作者なりの考え方が描かれている。読みやすさは理解できる。が、作者がリアリズムを追究しないと盛んに答えているように、不思議な世界のまま結論がなく終わる物語には、毎回ストレスを感じてしまう。

それがファンにはたまらないのかもしれないが、インタビューを読んで、あらためて作者のスタンスというのがよくわかった。単純なインタビューだけでなく、作者の小説に対する考え方というのが如実にあらわれている。

ファンならば押さえておくべき作品だろう。



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