しあわせのパン


 2014.10.19      焼きたてパンが食べたい 【しあわせのパン】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
北海道を舞台にしたほのぼの物語。北海道でカフェを営む夫婦の元に様々な事情を抱えた客がやってくる。「かもめ食堂」的に、おいしそうなパンや料理に食欲をそそられる。おいしい物とすばらしい景色で小さな悩みが解決していく。登場する焼きたてのパンがものすごくおいしそうだ。パンを二つに割った瞬間、湯気がモワっとあふれ出てくる。

小さくちぎったパンにスープを付けて食べる。カフェの外は一面巨大な草原となっている。パンを食べにくる常連客たちが、いかにも田舎風でありながら良い表情でパンを口にする。心がホンワカとしてくる作品であることは間違いない。刺激がないと言ってしまうと身もふたもないが、なによりパンがおいしそうで、食べたくなる。

■ストーリー

東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。

北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァそして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ"とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?

■感想
脱サラして北海道でカフェを営む水縞くん。そこにはカフェの経営や金についての泥臭いことはいっさいない。ただ、北海道の地で好きなパンを焼き、好きな人と、好きなことをして生活しているというだけだ。そんなのんびりとした楽しげな生活が現実に可能なのか?と思ってはいけない。

客が全然こないのにやっていけるはずがない、なんて現実的なことを考えるのはタブーだ。おいしそうなパンの映像と、雄大な景色を楽しむべきだろう。フラリとやってくる客たちに対して、カフェのおいしいパンが悩みを解決してくれる不思議な物語だ。

お客は、それぞれ悩みを抱えている。彼氏にすっぽかされたカオリと北海道から抜け出せない青年トキオの話はほのぼのとして良い。現実と理想のはざまで悩む部分が現実的だ。北海道で何の刺激もなく生活するのは、期間限定ならばよい。それが一生続くとなると…。

果たして東京に慣れた若者が北海道になじめるかは疑問だ。その他、死を覚悟した老夫婦の話など、実はかなりディープな内容だ。それでも、おいしいパンと料理によりすべてを解決してしまうのがすごい。都合がよすぎるようだが、これくらいファンタジーにあふれている方が北海道らしい。

出てくる料理がいちいちおいしそうだ。焼き立てパンは当然のことながら、スープがすばらしく魅力的だ。木目調のカフェの中で、暖かな色合いの食器と、自然な色でまとめられたテーブルクロス。オシャレなカフェ的雰囲気をかもしだしながら、暖かな雰囲気がある。極めつけは、レトロなストーブだ。

学校の教室にあるようなストーブで、ストーブの上で鍋の物を温めたりする。本作を見ると、都会でアクセク働くのが馬鹿らしくなってくる。脱サラして田舎でペンションを経営したい人が夢見るような世界がここにある。

夜中に見ると、確実に焼き立てパンが食べたくなるだろう。



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