2006.11.15 無性に腹が減る 【かもめ食堂】
評価:3
■ヒトコト感想
なぜフィンランドなのかはこの際どうでもいい。フィンランドっぽさがどれほど出ているかというと、それも微妙だ。しかしフィンランドというマイナーな地で日本食の食堂を経営するという違和感と、出てくる食事がとてもおいしそうに見えること。これが本作の醍醐味なのかもしれない。ゆったりとした雰囲気の中で登場する和食。和なのだが、食器が洋なのでぱっと見はファミレスのような感じがする。外人が不器用に箸を使いながら塩鮭を食べる姿はほほえましくもあり、おいしそうでもある。のんびりとして、そして腹が減る作品だ。
■ストーリー
フィンランドのヘルシンキで日本食堂を経営しているサチエは、図書館で知り合ったミドリを食堂のスタッフに迎える。お客は、日本アニメおたくの青年しかいない店にボチボチ人が集まるように。悩みをかかえたフィンランド人、荷物が出てこなくなって困っている日本人など、個性的なお客さんたちが、かもめ食堂に集まり、サチエたちの温かな心がこもった料理でなごやかな気持ちになっていく。
■感想
食べ物に目がいく。最初はシナモンロールであり、それからおにぎり。最後には玉子焼きやとんかつや生姜焼き。そして鮭の塩焼き。フィンランドには似合わないはずの食べ物たちも、まるで最初からそこにあるかのようにぴったりとはまっている。食べる人々もこってこての外人が箸をぎこちなく使いながら食べる。余計なことだが、あれほど食べにくそうに食べて、おいしく味わうことができるのだろうかと心配をしてしまった。
何か事件があるわけでもなく、ただ淡々と流れる日常。そこに起承転結は感じられない。なんの悩みもなく食堂を経営する。そこに客が来なくても、日本オタクの青年しか来なくても一向に気にしない。決して食堂を流行らせようとはしていない。何が目的かはっきりいえば良くわからない。しかし日本食に対しては何かこだわりのようなものを感じてしまう。オープンキッチン風の食堂で、料理を作る姿を一心に眺める外人達。その視線の先には日本食を作るおばさんがいる。なんだかとても不思議な光景のように思えた。
UDONもそうだが、この手の作品を見ると無性に腹が減る。バラエティ豊かなメニューと自分が想像していたよりもおいしそうに食べる外人達。日本人が食べておいしそうにするよりも、外人が食べておいしそうにする方が、よりその効果が大きいような気がしてきた。日本食が食べたい。特に炊き立ての米とちょっと塩辛い焼き鮭が食べたい。これだけでご飯三杯はいけるはずだ。
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