2014.4.2 極度に監視された社会の穴 【プラチナデータ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
すでに原作を読んでいるので、内容は理解していた。本作は、原作とは違った面白さがある。緻密なDNA捜査と最新のテクノロジーを駆使した犯罪捜査。原作を読んだときにも感じたことだが、行き着くところまで行ったシステムというのは恐ろしい。
すべての国民がDNAで管理される世界。恐らく、このあたりの管理社会の恐怖を表現し、システムがあまりに完璧すぎるため、自分に身に覚えがなくとも、システムが犯人と断定すれば、受入れないわけにはいかない恐怖を表現したのだろう。原作では想像するしかないDNA捜査を、映像として見せられると衝撃的だ。かなり未来的なシステムで、ほぼ正確なモンタージュができるあたりワクワクしてしまう。
■ストーリー
プラチナデータ=極秘裏に集められた全日本国民の究極の個人情報・DNAデータそれは明日かもしれない、近い将来の日本。[プラチナデータ]から犯人を特定する最先端のDNA捜査が可能になり、検挙率100%、冤罪率0%の社会が訪れようとしていた。
神楽龍平(二宮和也)は警察庁の科学捜査機関「特殊解析研究所」に所属する、天才科学者。いくつもの難事件を解決してきた彼は、DNA捜査の重要関係者が殺される連続殺人事件を担当することに。しかし、DNA捜査システムが導き出した犯人は何と神楽自身だった。
■感想
原作では表現できていないDNA捜査については、映像化することで強烈なインパクトが生まれてくる。ひとつのDNAから、年齢性別はもちろんのこと、性格や指の長さや爪の形までも判明してしまう。そこまでの精度があるのかと疑問に思うが、映像として描かれると、とんでもない説得力がある。
部屋全体に巨大なモニターがあり、そこに詳細な情報を表示し、最後には対象者の全身映像が映し出される。それだけでも相当なものだが、さらにとてつもない映像がその後続くことになる。
日本各地の防犯カメラ映像から、顔を認証し犯人を特定する。さらには歩き方さえも分析し、対象者か調査をする。まさに監視社会の極みだ。本作では極度に監視された社会を描き、それにより犯罪は撲滅される方向へと流れていくようだが、実はそこに大きな落とし穴がある。それが、「プラチナデータ」の存在だ。
終盤までこのプラチナデータの意味がまったくわからない。どのような効果のあるデータなのか。特殊なデータでシステムに大きく影響するものなのか。その答えがわかったときの衝撃はすさまじい。
プラチナデータの存在によりシステムは不完全なものとなる。完全な監視社会でデータとシステムを何より信用する社会となれば、そのシステムの穴をつくことができれば、絶対に捕まることはない。まさにシステムを逆手にとる考え方だ。映画的な面白さを付け加えるため、激しい逃亡劇があり、映像として楽しませるよう工夫されている。
原作の面白さと映画の面白さがうまく融合されている。俳優たちもそれなりに演技派をそろえているので、不自然さはない。ただ、主役の二宮が年齢の割に童顔なので、ちょっと重みが足りないような気がした。
映像的なインパクトはすさまじい。
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