謎解きはディナーのあとで


 2014.10.25      キャストはさておき雰囲気は良い 【謎解きはディナーのあとで】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
ドラマは見ていないが、原作は読んだ。キャラの役割は原作に忠実なので、問題なく物語に入り込むことができた。ただ、演出が独特で原作以上にユーモア路線が強い。劇場版ということで、原作にはないストーリーが展開されている。豪華客船で起こった事件を影山が解決するのだが…。

影山のキャラがどうもイメージと違っていた。もっとスマートで細くズバズバと相手の心をえぐるような毒舌を丁寧な言葉で吐くのかと思いきや、かなりソフトな雰囲気だ。影山とお嬢様の関係性は原作に忠実で、お嬢様のちょっと抜けた雰囲気というのは十分に表現されている。風祭をはじめとする脇を固めるキャラたちも、個性豊かで良い。ミステリーの部分にインパクトがない部分まで原作に忠実だ。

■ストーリー

舞台はシンガポールに向う豪華客船。執事・影山(櫻井翔)と共に久々のバカンスを楽しもうとしていた麗子(北川景子)の目の前で突如謎の殺人事件が起こる。船から海に投げ込まれた死体に、影山の名推理が冴えわたる!と思いきや、「お嬢様、今回の事件の真相、皆目見当もつきません」とまさかの影山ギブアップ?!

さらには偶然居合わせた風祭警部(椎名桔平)も加わり、事件はますます迷宮入りしていく。次から次へと現れてくる怪しい人々。海の上で誰も逃げられない洋上の密室。そして、最後に犯人のターゲットになったのは麗子お嬢様…。麗子を助けるために影山が走る!

■感想
お嬢様が捜査し、執事が謎を解く。シリーズはすべて読んでいるので、ドラマを見ていなくともすんなりと入り込むことができた。キャスティングは、影山以外はそれなりに合っていると思う。影山だけは頭の中でイメージしたよりも優しい印象だ。

お嬢様の高圧的な態度や、高飛車な雰囲気は良い。北川景子がちょっと抜けていながらもエラそうな態度を演じるのは、まさに原作のイメージどおりかもしれない。風祭警部は意外だったが、見ていくうちに違和感がなくなったので、問題ないのだろう。

豪華客船内で巻き起こる事件。船上ということで、限られた面子での捜査と、限定された容疑者たち。ミステリーの舞台としては、これ以上ないほど整いすぎている。そして、新たな殺人事件。船内には怪しげな人物がいくつか存在する。

伝説的な泥棒のソロをはじめ、船内で何かしら秘密めいたことを話し合う船員たち。観衆をミスリードするための要素は多数存在する。自分も、この船員たちが裏で何か大きなカギを握っているのでは?と思っていた。ミステリー好きに対して、深読みさせるような伏線が用意されている。

独特な映像は本作の特徴なのだろうが、新鮮で良い。実写とアニメを融合させたような流れは良い。人が想像する犯人像をアニメで描き、それがそのまま事件の想像図として描かれる。わかりやすく、コメディチックな本作にあっている。

キャラの個性で成立していた物語なだけに、個性をより引き立たせるような演出で映画作品として盛り上げている。おそらく続編が作られることはないだろうが、この手の演出の作品はそのうちでてくるだろう。

物語のトーンと演出が合っている。



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