真夏のオリオン


 2014.6.28     死亡フラグをぶち壊す 【真夏のオリオン】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
原作の印象そのままに、生きることへの執着が強い。戦時中、劣勢に立たされた日本軍の兵士ならば、玉砕覚悟で戦うはずだ。本作では、そんな玉砕が当たり前の状況を変えようとする艦長の強い気持ちがある。特に、他国の海軍を恐怖させる人間魚雷である回天を、絶対に使わないという信念。表にはださないが、なんだかんだと理由をつけて回天の使用を回避する。

そのほか、アクロバティックな戦術によりピンチを脱出したりもする。映画においては、潜水艦モノにハズレはないとよく言われるが、本作も少しテイストは違うが、確かにハズレではない。原作が表現していることを忠実に映像化し、ポイントもおさえている。原作ファンならば間違いなく楽しめるだろう。

■ストーリー

第二次大戦末期、日本の最後の砦となった潜水艦を指揮する若き艦長と部下たちの生き様を、玉木宏主演で描いた戦争ドラマ。劣勢に立たされた日本海軍は米軍の燃料補給路を断つべく、“海中の天才”倉本艦長に運命を託す。

■感想
倉本館長がとんでもなくさわやかだ。玉木宏が演じているというのもあるが、原作のさわやかさを忠実に再現している。潜水艦という密閉された空間で、敵に追い詰められ絶体絶命のピンチに陥ったとしても、常にさわやかに指示をだす。

極めつけは、何かがある前には必ず「飯を食おう」と言う。このさわやかさはすさまじい。男くさい汗がしたたる潜水艦の中でさえ、ひとりさわやかだ。同僚の潜水艦が沈没したとしても、表情はいたってさわやかなままだ。

本作のポイントとして、常に命の大切さを解いている。回天に乗り、敵に特攻したいと考える回天乗組員たち。艦長へ直談判をしても、倉本はあっさり拒否する。どれほど回天を使うチャンスがあったとしても、なんだかんだと理由をつけて拒否する。

しまいには回天の酸素を艦内に流し込み、回天を使えなくさせる。飄々とした態度で乗員たちへ指示する倉本館長。そこには確固たる信念があり、それに気づいた回天乗組員たちは、仲間が死んでいったことへの苦悩と板挟みとなる。

唯一の女性として北川景子が登場する。お決まり通りの展開だが、戦地へと向かう倉本と二人の心の交流は少し感動してしまう。定番としては、死亡フラグとして倉本は帰らぬ人となるのだが…。戦争ものでは、犠牲がつきものだが、あえて皆、無事に生還するというのも良い。

悲しさで感動を誘発するよりも、さわやかな終わりが良い。生きるということがテーマとなっているだけに、最後の絶体絶命のピンチであっても、偶然のタイミングで生き残ることになる。この流れは良い。

さわやかな倉本館長は好感度ばつぐんだ。



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