魔法使いは完全犯罪の夢を見るか? 


 2014.12.22      新しいキャラモノミステリー 【魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

作者の代表作である「謎解きはディナーの後で」的なキャラモノミステリーの新シリーズだ。今回は、キャリア系女子刑事と狂言回し役である普通の刑事、そして魔法少女というパターンだ。魔法少女だけが明らかに異色であり、作中でも際立った個性を放っている。

魔法少女のマリィが魔法を使い、あっさりと殺人事件の犯人を見つけてしまう。が、刑事事件として解決するためには証拠が必要なので、後追いで証拠を探すという流れだ。読者は犯人の完全犯罪トリックを把握しつつも、刑事たちがどうやってトリックを解明するか、その過程を楽しむべき作品なのだろう。キャラモノなので、キャラの魅力により良い悪いがはっきりするのは確かだ。

■ストーリー

美貌で美脚。傍若無人のキャリア系女子・椿木綾乃警部。実はキレ者?それともただの変態?小山田聡介刑事。魔法使い少女マリィ。待望の新シリーズSTART!謎と魔法のユーモア・ミステリー。

■感想
キャラモノはキャラの個性が命だ。犯人が趣向を凝らして完全犯罪を実現する。が、魔法使いが何の脈略もなく魔法により犯人を探り当てる。ここで終わるとなんの面白味もない。犯人が判明してから、その裏付けをどれだけ綿密に行うかがポイントだろう。

期待していたのは、理論的な展開だが、そうではなかった。キャラモノということで、魔法使いのマリィのおっちょこちょいで、思わず犯人がボロを出したり、キャリア系女子刑事の椿木が強引に捜査をすすめたりと、多種多様な展開がある。

「魔法使いと逆さまの部屋」は、シリーズ最初ということで、マリィがなんだか「家政婦は見た」的な役割となっている。お手伝いさんとして仕事をした先で殺人事件が起こる。魔法使いということがまだ刑事である小山田にバレていない段階なので、そのドタバタを楽しむべきなのだろう。

強烈なインパクトはないが、魔法使いが探偵役というヘンテコな流れは新しい。ただ、新しさがミステリーとしての面白さに繋がるかは微妙かもしれない。

「魔法使いと代打男のアリバイ」は、野球好きの作者らしい作品だ。ミステリーとしての面白さは、ほぼないと言って良いかもしれない。単純すぎる入れ替わりによるアリバイトリックだ。マリィがあっさりと犯人を探り当て、そこから犯人特定のための行動をとる。

魔法をかけることによって、犯人が自分からボールに自白を描くなんてことは強烈すぎる。マリィのキャラの魅力でひっぱるにしても、少し力不足であり、脇役たちもイマイチなため、シリーズとしてのインパクトは少ない。

新しいのは新しいのだが、面白いかどうかは微妙だ



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