マージン・コール


 2014.8.5      リーマンショック前夜 【マージン・コール】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
リーマンショックをリアルに連想させる物語。もしかしたら、リーマンブラザーズの内部では、本作と同じことが行われていたのかもしれない。リアリティをだすためなのか、ドラマチックな展開はない。自社の危機を知り、どのように乗り切るかを話し合い、実行する。ただそれだけのことだが、次々と登場する偉い人物たちと、一瞬にして会社が吹っ飛ぶような危機感にはしびれてしまう。

高額な報酬を得ている証券マンたちの物語なので、一般人の感覚とは程遠いものがある。高額な年収を得ていても、リストラ対象となれば辛く悲しむ。それだけ貰っていれば、さぞ貯金できていることだろう。なんて考える一般人では務まらない職業なのだとわかった。

■ストーリー

2008年、ニューヨーク。ウォール街の投資会社で大量解雇が始まった。解雇対象となったエリックは、アナリストのピーターに「用心しろよ」と意味深な言葉を残しUSBメモリーを託す。原子物理学の博士号を持つピーターは、その部署でリストラから生き残った数少ない1人だった。

その夜、エリックから引き継いだデータを調べるピーターは、会社倒産をも招く危機的事態に気付き上司のサムに報告すると、深夜、緊急の重役会議が開かれることになる。8兆ドルもの資産の命運を左右しかねない状況で、彼らは経済的・道徳的にも崖っぷちに立たされることになっていく。決断の時は、刻一刻と迫ってきていた・・・。

■感想
リーマンショック前夜に何が行われていたのか。まず、前日にリストラを断行する場面が強烈だ。その日の朝に首を告げ、私物だけ持ち会社を去れという。まさしく「マイレージ、マイライフ」の場面と同じだ。首になった社員たちは、弁解の余地なく追い出される。残った者たちは、助かったと思うのか…。

その後、会社の危機を知ったピーターは、上司に報告し、大騒ぎとなる。最終的には社長を含めた取締役全員の会議となり、会社の行く末を議論する。会社存亡の危機となれば駆けつけるのは当然だが、ヘリで駆けつけるのはやはり桁違いだ。

ピーターが第一発見者として社長に説明する場面はリアルだ。上司連中は細かい数字の話やシステムの話はわからない。大雑把に状況と、その後予想される危機を説明する。最新の金融システムの知識がないにも関わらず、社長の言動には迫力がある。

何も知らない赤ん坊にでもわかるように説明せよ、という言葉に、ピーターが緊張しながら説明する場面は、ものすごく理解できる。社長が強烈なオーラをふりまいているので、少しでも余計なことや、論理的でないことを話すと、途端にダメだしされそうな恐怖を覚えてしまうのはよくわかる。

一流証券会社の幹部たちは、桁違いの収入と地位を手に入れている。一般人とはかけ離れた生活。会社を生き延びさせるために、不良債権を投げ売りし首になったとしても、億のボーナスが待っている。会社としては、一時的な損失には目をつむり、下っ端の首を切り、幹部たちだけでまた再建しようとする。

億の年収はマネージャレベル。幹部となると百億レベルだ。恐らくこれがリアルなのだろうが、一般人には理解できない感覚がそこにはある。どれだけ高収入であろうと、明日からそれがなくなるとわかると、気が狂わんばかりに悲しんでしまう。

億の年収があれば、しばらく貯金で生活できると考えるのは、庶民なのだろう。



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