マイレージ、マイライフ


 2014.7.9     バックパックに詰め込める人生 【マイレージ、マイライフ】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」という信念の元に、リストラ宣告人として各地へ出張する男ライアン。自由気ままな生活で、結婚を否定する男が、ひとつの出来事により変化を求められる。小娘が提案した新システムで、出張の必要性がなくなり…。人生に変化が訪れると、人は守りに入るのか。

結婚はすばらしいものだという主張を受け、ライアンは…。普通の物語ならば、ライアンの心は変わり、運命の女性と結婚する、なんてオチになるのだが、本作はそうはならない。結局のところ、元の木阿弥なのだが…。最終的には、ライアンは元のまま。結婚はすばらしいという言葉を暗に否定しているように感じられる作品だ。

■ストーリー

リストラ宣告人のライアンは、1,000万マイル達成を目前にしがらみのない人生を楽しんでいた。ある日、彼にふたつの出会いが訪れる。

■感想
小娘のナタリーが提案したシステムが破たんするのは容易に想像できた。リストラはやはり面と向かって宣告しなければならない。ライアンがナタリーと出張し、業務を経験させることで、リストラ宣告人の過酷さが描かれている。ある面では、ライアンは非常に優秀で人生を謳歌している男だ。

ただ、旅先で出会った同じ人種のアレックスに対して恋に近い感情を持つ。小娘のナタリーが自分の人生よりも男を優先したのとは対照的にライアンとアレックスは描かれている。この対比が最後にナタリー側に流れれば、オーソドックスな物語だ。

ナタリーに説教され、考え方を変えようとするライアン。そして、結婚するなら、とアレックスの家を突然訪ねるのだが…。アレックスとライアンは同じ人種だ。当然、旅先での出会いは非日常の一部でしかない。

金はなくとも幸せな結婚をした妹夫婦のことを考えたりと、ライアンの信念を崩すようなモデルが周りに多く存在する。が、結局のところライアンは変わらない。何がベストか、本作では特に結論づけていない。男に振り回されたナタリーは、逆にライアン風になったりと、結論は様々だ。

ライアンの考え方は理解できる。そして、世間は、結婚が幸せに近づく第一歩だという風潮なのも間違いない。ライアンが長年の夢である1000万マイルを貯めた瞬間のむなしい表情は何を物語っているのか。自分の人生に後悔しているのか。少なくとも、大満足で幸せというのではない。

脚本がすばらしく、飽きることなく見ることができる。結末も、予定調和的ではなく、それぞれの道を歩むというのが良い。これが、アレックスとライアンの結婚なんかで結末を迎えたら、かなりテンションが落ちる内容であることは間違いない。

バックパックに詰め込める人生は、さみしいかもしれないが、魅力もある。



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