感傷の街角 


 2014.9.9      すさまじいバブル臭 【感傷の街角】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

人探しに特化した探偵の物語。多少ハードボイルド風ではあるが、特別な格闘術を身につけていたり、武器の扱いに長けていたり、すさまじい暗殺技術を持っているわけではない。多少の顔の広さと、若者がたむろする場所に顔が聞く程度の普通の人だ。そのため、激しい戦いやカーチェイスなどはない。

報酬についても、正規の探偵社に所属しているので、仕事として人探しを行う場合と、個人的な依頼で人探しする場合があるが、どちらも大した報酬は得ていない。人間関係や、失踪者の事情などを探り、結果、なんだか少し切なくなるような結末もある。バブル期全盛に描かれたというのもあり、登場人物たちがやけにバブリーなのも特徴だろう。

■ストーリー

早川法律事務所に所属する失踪人調査のプロの僕。プライベイトに、ボトル一本の報酬で、11年前に別れた女を捜してくれという、その依頼を引き受けたのは、依頼人のシャイな表情が気にいったのと、僕の過去へのセンチメンタリズムからだったのかもしれない…。

■感想
小粋な会話が印象的だ。いかにも都会的で、さわやかな印象の佐久間公。失踪人専門の探偵であるのだが、特殊な能力があるわけではない。人との繋がりにより人探しを行うタイプだ。そのため、武闘派な人物が登場すると、公はあっさいとやられたりもする。

やばい筋の人物と相対することがあったとしても、穏やかに済ますことができる。依頼人と失踪者の関係や、少しの手がかりから失踪者を探し出す能力は確かにすばらしいが、公に特別な個性があるようには感じなかった。

バブル臭がすさまじい。六本木のディスコに高級マンション。失踪者である若い女は、ディスコでVIPあつかいを受けていたりと、バブルの雰囲気が充満している。頭に思い浮かぶのはワンレンボディコンスタイルで、お立ち台に上り、センスをふっているような感じだ。

公からもバブル臭を感じることができる。プライベートな関係もそうだが、情報提供者にしてもセレブな雰囲気がすさまじい。今であれば、違った描き方をされたのだろうが、このバブルの雰囲気は貴重かもしれない。

必ずしも人探しに成功するわけではない。失踪者が、結局は死んでいたり、病気になっていたりとせつない終わり方の短編もある。公がそれらを淡々と調査し、人との繋がりによって数珠つなぎに失踪人へたどりつく過程を楽しむのだろう。

強烈なインパクトはなく、ハードボイルドとして、誰もがイメージするものではない。短編なので、特別なオチもなく終わるパターンもある。ライトなハードボイルドとして気軽に楽しむべき作品なのだろう。

もっとコテコテのハードボイルドを想像していただけに、意外な雰囲気に驚いた。



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