2014.8.15 M資金との因縁 【人類資金2】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
1ではM資金の巨大さと世界規模での争いを暗示するような描かれ方がされていた。それが本作では、M資金で詐欺を繰り返してきた真舟が謎の人物”M”に依頼され、巨大な争いに巻き込まれていく様が描かれている。真舟がどのような経歴の持ち主で、師匠である詐欺師の存在や、その師匠がM資金絡みで死亡したことも語られている。
恐らくシリーズとしては真舟が主人公なのだろう。狂言回し役として、詳しい話は知らず、真舟の驚きがそのまま読者の驚きへとつながる。警察や自衛官から追われる真舟。単純に”桜田門”だけでなく”市ヶ谷”も絡んでくることが、規模の壮大さを物語っている。謎の”M”の側近である石と真舟が出会うことが一番のポイントなのだろう。
■ストーリー
謎の男“M”に盗み出してほしいと依頼された『M資金』。かつて育ての親を死に至らしめたその存在に呪縛され続けてきた真舟は、“M”との接触を機に日本の地下に蠢く力学の奔流に呑み込まれていく。この世界をあまねく支配する“ルール”の外へ―真舟はこれまでの人生を覆し、依頼を受ける覚悟を決める。
■感想
架空のM資金で詐欺を繰り返してきた真舟。そんな真舟が、なぞの”M”に誘われM資金に関わることになる。真舟の師匠がM資金絡みの話で何者かに殺害されたことを受け、悩み苦しむ真舟が描かれる。主人公である真舟のバックグラウンドとM資金との因縁が描かれた本作。
真舟がM資金に関わると決めてから、とたんにあちこちからターゲットにされてしまう。M資金の不気味さを表現するため、関わる人物の巨大さをこれでもかと表現している。関係者の怪しさもさることながら、”M”の側近である石の特殊さは群を抜いている。
その名前を検索するだけで警察からマークされる存在。石により警察と自衛隊の包囲網から突破することに成功した真舟。本作では、M資金の正体や、その関係者の素性が明らかになることはない。主役である真舟を紹介することに重点を置いているのだろう。
石と真舟の繋がりができあがり、そこから対向組織のキーマンも登場してくる。それぞれがどのような繋がりがあるのか、明らかとはならない。が、明らかに顔なじみと思わしき雰囲気もある。M資金に関わる人物がすべてそろったとは思わないが、主要キャラクターはそろったのだろう。
本作はキャラクター紹介で、M資金についての詳しい描写はない。雪だるま式に膨らむ世界の借金をすべて賄える夢の資金は存在するのか。本作で、そのヒントらしき情報が提示されてくる。世界規模であることは間違いない。
そして、アクション担当として石が登場し、相手を罠にはめる頭脳労働は真舟が担当するのだろう。ネズミ色のスーツを着た40代が、世界の命運を握る資金にどのように関わるのか。ただのチンケな詐欺師がどこまで大きな仕事をするか、楽しみで仕方がない。
物語の助走段階として、着々と準備が整っている感じだ。
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