ヒュウガ・ウィルス 五分後の世界2 


 2014.6.10     致死率100%のウィルス 【ヒュウガ・ウィルス 五分後の世界2】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

五分後の世界」の続編。突如発生した謎のウィルスの調査へ向かうUG兵士と、それに同行し取材するCNN記者を描いている。強烈なのはやはりヒュウガ・ウィルスに感染した際の無残な死にざまと、強烈な感染力をもつウィルスの恐怖だ。陰鬱な世界の中で、どんな危険な任務だろうと無表情に淡々とこなすUG兵士たち。

アンダーグラウンドの兵士たちの考え方や行動原理は前作を読んでいれば納得できることだ。統制されたUG兵士たちでさえ苦心するウィルス調査作業。ウィルスに感染したとしても、生き残るすべはある。それは…。なんとも本作にふさわしい理由づけだ。なんだかんだと言い訳を並べる現代人ならば、誰ひとりとして生き残れない世界だ。

■ストーリー

点状出血、内臓溶解、骨格筋の爆発的なケイレン。信じ難い致死率の出現ウイルスは何を象徴しているのか。ずれた時空の日本を襲う生存への最大の試練。世界人類が迎えた「最期の審判」を刻む衝撃。「5分後の世界」続編。

■感想
五分後の世界の圧倒的な世界観を引き継いだ本作。空気感染し致死率100%の恐怖のウィルスが発生したとき、アンダーグラウンドの国民たちを守るため、UG兵士たちは調査へと向かう。同行するCNN記者が、前作でいうところの小田切役となり、UG兵士の能力の高さを表現している。

さらには、目的地であるヒュウガ村へ向かう道中での過酷な戦闘や、アクシデントなどを適切な判断と指示でのりきる兵士たちの、機械のような冷静さに圧倒されてしまう。泣き叫んでも状況が変わるわけではない。状況を変えるために行動するだけ、という正論にはしびれてしまう。

CNN記者のコウリーから見たUG兵士の能力の高さは異常だ。運動能力だけでなく、ウィルスに対する知識もすさまじい。体全体を防護服で守り、空気感染するウィルスをガードしつつも、目の前でウィルスに感染した者たちがゾンビのようにワラワラと迫りくる。

恐ろしいのはウィルスの末期症状として、体の間接があり得ない方向へ曲がるロシアンマンボだ。人間の力を超えた動きをするため、間接が壊れ、周りにいる者たちを傷つける。防護服も簡単に破られてしまい、そこから感染が広がることになる。

感染者が溜まるビルに、ひとりだけウィルスに感染後も生き残った少年がいた。そこから、物語はウィルスに感染した者の生存方法へとうつっていく。UG兵士のミツイがウィルス感染後生き残る。そこから、生き残るべき人間の資質についての話が続く。

100%の致死率をもつウィルスから生還する方法は…。もし、こんなウィルスが蔓延したとしたら、間違いなくほとんどの日本人は生き残れないだろう。ワクチンや肉体的特徴ではなく、人間の本質的な生きる力を問う物語だ。、

過酷な世界を生き残るためには、それ相応の経験をしていなければならない。



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