ホルモー六景 


 2014.11.14      非モテ女子、ホルモーをする 【ホルモー六景】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

鴨川ホルモー」のサイドストーリー的短編集。本編では脚光を浴びない、ホルモーに参加していたその他の人々に焦点を当てた作品。ホルモーという特殊な競技に参加する者たちは、どこか特殊なのだろう。その特殊具合が、ヘンテコなエピソードと共に語られている。最も印象に残っているのは、間違いなく二人静だ。

ホルモーに従事する非モテ系の女二人。大学生になれば恋人ができるという幻想を持った二人が現実に直面し、非モテ街道をひた走る。そこにホルモーという特殊な競技が加わると、二人静はさらに特殊なものとなる。京都、非モテ、孤高な雰囲気と、まさにホルモーらしさが最も表現されている短編に思えて仕方がない。

■ストーリー

このごろ都にはやるもの。恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祇園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。

四神見える王城の他に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋歌い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。

■感想
大学時代にホルモーに従事した者の数は、少ないながらも存在するはずだ。一般人には見えない、小さな鬼を見ることができる特殊能力を持った者と、社会人になり再会することはあり得る。その場が、合コンであれば、その衝撃はすさまじいものなのだろう。

ホルモーでしのぎを削った相手と、社会人となり、合コンの場で居合わせる。その気まずさと、秘密を共有する親近感がものすごく伝わってくる。ごく普通の短編ではない。ホルモーに関わるということだけで、特殊な面白さが付け加えられている。

本編で特異な魅力を放っていた凡ちゃんこと楠木フミのサイドストーリーはすさまじい。ヘルメットのようなおかっぱ頭。これまた、典型的な非モテ女子なのだが、本編では安倍と良い雰囲気を醸し出すまでになっている。が、そうなる前の非モテオーラ全開の凡ちゃんの、ちょっとしたアルバイト風景がおもしろい。

年下の少年に「デート」と口にだされ、必要以上にドギマギしたり。典型的なパターンかもしれないが、ホルモーに関わる人物たちの、ちょっとした面白エピソードというのは読んでいて楽しくなる。

芦屋と元カノの話は、本編でも登場していた。それが、元カノ目線で語られるのが新鮮だ。ホルモーはほぼ関係ない。ただ、芦屋のエピソードは主役の安倍に大きく関係する出来事なので、印象深い。その内情が、実はこんな感じだったのだ、とわかるのは心地良い。

ホルモーに関係なくとも、少しひねくれた雰囲気を持つ、ちょっとメインストリームから外れた雰囲気というのが良い。キャラクターの思考が少しネガティブでありながら、サラリと気持ちを吹っ切るのも良いのかもしれない。

ホルモーのサイドストーリーとして、思わず熟読してしまう内容だ。



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