極悪鳥になる夢を見る 


 2014.2.4   作者の人となりがわかる 【極悪鳥になる夢を見る】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

作者の初エッセイ集。今までの作品ではうかがい知れない作者のプライベートな部分が見えてくる作品だ。ファンならば外せない作品だろう。京都大学を卒業し、保険会社に勤務し、辞めて小説家を目指す。退職からデビューまで7年もかかっているとは思わなかった。作家としての能力は高いが、運にも見放され、不遇な時代を過ごす。ただ、エッセイからは、辛い生活は伝わってこない。

最初はホラー作家としてデビューし、今にいたる。合間に挟まれるちょっとしたギャグに思わずニヤリとしてしまう。作者の旅エッセイの部分は特別な感想はないが、それ以外の身近なエッセイというのは引き込まれてしまう。名エッセイではないが、ファンならば楽しめること間違いなしだ。

■ストーリー

これを読まずして貴志祐介は語れない! ! あの緻密な作品群を生みだす知性の意外な素顔とは。 作家としての思索や社会への意見……デビュー以来の全エッセイから精選・抽出した、最初で最後かもしれない(著者談)エッセイ集。笑いあり涙あり、私生活にもミステリーあり! ? ファン必読・必携・必購入!

■感想
ホラーあり、ミステリーあり、SFありと多彩な才能を見せる作者。そんな作者の初エッセイ集となれば、読まないわけにはいかない。作品を読むだけでは、作者がどんな人物かは絶対にわからない。どんな動機でデビューし、どんな経歴なのか。

特に素人時代にどんな本を読んでいたのかは気になるところ。それらがエッセイとして余すことなく描かれている。作品のイメージと比べてどうかというと…。英語が話せるというエッセイがあったので、それは驚いた。保険会社でエリートサラリーマンを立派に勤め上げていたのも、意外かもしれない。

印象的なのは、ホラー作家になるために、ホラーな情報を収集するエッセイだ。作者が体験した恐怖話。よくあるタイプの恐怖体験談ではなく、なんてことない体験なのだが、よく考えると恐ろしい。そららが作者の作品にも活きているのだろう。

黒い家」での読者を恐怖へ導く方法は、まさに作者の思ったとおりの反応をしてしまう。読者の想像力を刺激する手法。当たり前に世間に浸透している手法だが、作者にあらためて解説され、恐怖を感じる理由が明確にわかった気がした。

作者は京都大学卒で保険会社に勤務し、その後小説家となる。退職後すぐにデビューしたかと思いきや、意外にも苦労したらしい。読者の予想を裏切るエッセイもあれば、予想通り子供時代はかなりの読書家だとわかるエッセイもある。

やはりこのあたり、作家になるような人はとんでもない読書量なのだと思わずにはいられない。何気なく書かれてはいるが、1日に7冊も読むなんて普通ではない。それでいて、立派に進学し就職しているのだから、やはり何かが違うのだろう。

作家としての個性をエッセイで知ることにより、次の作品に対して、少し読み方も変わってくるだろう。



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