2014.9.7 究極に歩かない職業 【アイム・ファイン!】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
JAL機内誌エッセイ集の第二弾。作者の人となりや考え方はもちろんのこと、プライベートな部分まで。今回は、心筋こうそくになったことが強烈に印象に残っている。娘が医者ということで、すぐさま病院へ行きそこで入院する。年齢が年齢だけに下手すると死んでいた可能性もあるだろう。酒は飲まないが、煙草は吸うので、そのあたりが大きな要因なのだろう。
生活習慣改善のため、万歩計をつければ数百歩しか歩かない。作家というのは、それほど歩かない職業なのだと驚かされた。数百歩なんてのは、家の中を移動するだけなのだろう。食事さえも、書斎へ持ってきてもらうような生活をしていたら、太りもするし、病気にもなるのだろう。作家という仕事は、実は過酷なのだと思い知らされた。
■ストーリー
チュニジアで熱波に遭い、ラスベガスに遊び、西安を逍遥す…珠玉の40編。
■感想
一年の三分の一は旅をしているという作者。そのほとんどが仕事なのだろうが、単純にうらやましい。が、それはそれで苦労があるようだ。売れっ子作家ともなると、名前付きで作品の舞台となった場所のツアーが開催されたりもする。
となると、作者自身がウンチクを語りながらガイドのようなこともしなければならないらしい。ものすごく大変なようだが、話好きの作者はまったくそのあたりは苦にならないらしい。人の適正とは様々だが、講演を頻繁に行う作者は、しゃべりには自信があるようだ。
作者の各種エッセイを読むと、ハゲとデブは定番ネタとなっている。ハゲについては、年齢的なものでどうしようもないが、デブは改善できるはず。作者は、心筋こうそくの予防のためにも、生活習慣の改善を目指すが、そもそもの生活がすさまじい。
愛犬が死んでから、散歩する習慣がなくなったことで、ほとんど歩かなくなったらしい。ほぼ書斎から出ない生活を続けていたら、足が退化してしまうのではないか?と思えるような生活をしている。これほどの過酷な生活?によって生み出された作品ということなのだろう。
二千円札が流通しなくなったことや、愛車でドライブ中に警察へ止められたエッセイなどがある。八王子ナンバーだからと、東京の複雑な一方通行に違反したとしても、注意だけで済まされた。普通ならば喜ぶところを、作者は田舎者扱いされたことに若干の怒りを覚える。
アメリカでの絵に書いたようなデブ家族が、すさまじい量のステーキとマッシュポテトを食べていたエッセイなど、相手を小バカにしながらも、最後にしっかりとオチを作るのがすばらしい。
読んでいて心地よいのは、最後に必ずオチがあるからだろう。
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