2011.2.16 油断ならない面白さ 【ゆりかごを揺らす手】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
かなり古い作品だが、サスペンスとしての演出のうまさがある。あらゆる場面に伏線が散りばめられており、それを使って復讐を繰り広げる女。女の行動がすべて何か意味があるものとなっている。そのため、一つの復讐が成功したとしても、そこから数珠繋ぎに次々と新たな復讐を成功させていく。登場人物たちのキャラクターもすばらしく、一人として無駄な人物はいない。ちょっとした小道具までも、大きな意味があるために、すべての場面が見逃せないものとなっている。古臭さを凌駕するうまさと、最近のミステリー小説がかなりパクっているであろう場面もある。最近映画された白夜行なども、この手の作品に近いのかもしれない。なんてことないベビーシッターが裏で暗躍する。油断ならない面白さだ。
■ストーリー
平凡な家庭を舞台に繰り広げられる、女の壮絶な復讐劇を描いたサスペンススリラー。セクハラで訴えられた産婦人科医は遂に自殺。その妻は訴えた女へ復讐を果たすため、彼女の家族へベビーシッターとして接近する。
■感想
古臭さを感じさせない演出だ。単純な女の復讐劇だといえなくもないが、復讐の仕方がすばらしい。誰にも気付かれずに復讐を行う。それも次の復讐につなげる方法で、誰にも気付かれずに仕掛ける。自分が不利な状況に陥る前に、仕掛けをし、それを実行し成功する。気付かれないまま復讐を実行し、家族に気に入られるベビーシッター。子供までも自分の仲間になるようにてなづける辺りがすばらしい。無理なくすべてがしっかりと流れに沿って考えられている。
細かな伏線がすばらしい。ちょっとした小道具をいったい何のために使うのかわからないが、それがのちのち活きてくる。特に自分の不審な行動を見られたソロモンに対しての仕打ちはかなり強烈だがすばらしい。娘に対して何か秘密があるように匂わせておきながら、それがさもソロモンに対する秘密のように暗示させている。そのため、何の意味があってそんな言葉を口にだしたのか、まったく不明だがよく考えるとすべてはのちの復讐に活かされていると気付くことになる。
古い作品であり、それほど有名な俳優が出演しているわけではないが面白い。現代風にリメイクすればさらに面白いかもしれない。この手のサスペンスは脚本が命なのだろうが、このパターンをうまくつかえば、すぐれたサスペンスになるだろう。見ていて思ったのは、気付かぬうちにすべてを仕組むあたり、東野圭吾の白夜行に近い雰囲気を感じてしまった。誰がすべてを仕組んだかというのはわかってはいるが、得体の知れない恐ろしさというのは常につきまとう。
今見ても色あせない面白さだ。
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