2005.3.29 読後感は重いが最高に面白い 【白夜行】
■ヒトコト感想
東野圭吾作品では人気ナンバー1と噂される本作、満を持して読んでみた。
厚さが800ページオーバとかなり厚く、壮大な物語というのを想像できる。 読んだ結果は、読後感はすごく重い。気分はスッキリするはずもなく、
気持ち的に沈んでしまう。それほど物語は重く、苦しいものだがのめり込むことができる作品だ。
■ストーリー
1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。 最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、
質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、 社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。
2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。
■感想
ありきたりな感想を言えば構成がすばらしく、
主人公二人の内面描写なしにここまで物語を作るのはすばらしいと思う。
二人の内面描写を語らない代わりに、
二人の行動からはいわれもない悲しさのようなものが滲み出ている。
何が二人をそこまでさせるのか、様々な事件の詳細は最後まで明らかにされず、
読者の想像に任せっきりである。
僕としては読み進めていくうちに最後にこの全ての謎と二人の心理が
明らかになるもんだと思いワクワクしながら最後で読み進めたが、
結局それは解明されなかった。普通ならば、謎が解明されないイライラ感が募るところだが、
本作はそれがなかった。今までと同じように主人公二人の内面を想像することで、
物語の結末にも自分なりに決着をつけることができた。
この作品は読者それぞれに自分なりの解釈や決着の仕方があるので
作品としてすばらしいからといって映像化はしないでほしいものだ。
本作を終始覆っている、暗さと切なさ。その中でぽっかりと浮き出ている
聡明可憐は雪穂と頭の切れる危険な男、亮二。
読んでいくうちにいつの間にか二人が身近にいるような感じさえしてきた。
作品の流れからすると決して泣けるような物語ではないはずなのに最後にものすごく悲しくなった。
東野作品最高傑作という噂に間違いはなかった。
読み終わって何日たっても本作のことが頭から離れなくなってしまった。
僕にとっては、それほど心に残る作品だ。
■ 2006.1.13 追記
昨日ドラマを見たが、映像化はしないでほしいというのは撤回したい。原作では語られなかった主人公二人の気持ちがよく表現されており、特に1話は子役二人の演技がとてもすばらしかった。原作のドラマ化でここまで期待できそうな作品はそうないと思うので、このまま見続けようと思う。
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