ホワイト・ライズ


 2011.8.5  よく考えるとヘンだ 【ホワイト・ライズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
冒頭からめまぐるしく変わる場面に多少ついていけなかったが、中盤以降は落ち着きをとり戻し、しっかりとストーリーを追うことができた。そこで後悔したのは、もうちょっと序盤を順序だてて描いていれば、もっと早い段階から物語に入り込めただろう。スピード感はあるが、そのスピードによって観衆の注目をいくつかとりこぼしている。後半になると、前半の意味不明な演出がはっきりし、細かな部分でよく考えられているというのはわかる。ミステリアスな物語が好きな人にはうってつけだろう。ただ、結局ふたを開けてみれば、一人の女によって引き起こされた出来事だと気付いてしまう。幸運なのか不運なのか、偶然をうまく使い、すれ違いによって奇妙な話を作り上げている。

■ストーリー

結婚を控えたマシューは、かつて突然姿を消した恋人・リサの後姿を目撃。僅かな手掛かりで彼女を探すマシューは、あるアパートに辿り着く。

■感想
すべてが繋がっていく感覚は心地良い。特に後半の、主要人物が四人に絞られたあたりは最高だ。恋人との出会いから始まり、別れがあり、そして、また偶然出会う。その中でかすかな手がかりを頼りに、恋人を探しだそうとするマシューの執念はすさまじい。しかし、これだけでは、ただの恋人探しの物語にすぎない。本作がすごいのは、恋人探しに変なミステリーを組み込み、複雑な状況にしていることだ。よく考えれば、おかしなことだらけだが、次々登場する新たな真実によって、すべてはどうでもよくなってくる。親友の新しい彼女の顔がわかったときが一番の衝撃だ。

物語は少し異常な女によって引き起こされた物語かと思いきや、そこにはマシューと同じような運命的な出会いがあった。前半部分のジェットコースター並みの激しい場面展開の意味がやっとわかってきた。現実と回想を繰り返していたのには理由があった。あえてわかりにくくしていたというのもあるのだろう。マシューのむこうみずな行動は、それだけリサへの愛ととることもできるが、よく考えればめちゃくちゃだ。本作を悲しい愛の物語として共感できるのか。それともサイコ的な女の恐怖と感じるか。もしかしたら、性別によって印象は変わるかもしれない。

脚本は良いと思う。良く練りこまれているし、驚きもある。ただ、冷静に考えると不自然な部分やありえない展開がある。それは本作の、お互いが出会いたくても出会えない状況を作るのと、他人が間に入り込む余地を作るための不自然さだ。偶然のすれ違いにやきもきしたターンレフトターンライトという物語があるが、それに近いようで、本作は強引すぎると感じた。恋愛のドキドキ感というよりは、相手を追いかける焦りばかりを画面から感じてしまう。

驚きがあり、中盤以降は引きつけられるが、よく考えると変だ。



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