天空の蜂 東野圭吾


2005.4.7 理系な小説 【天空の蜂】

                     
■ヒトコト感想
導入部分で子供がヘリに乗り込むという多少強引な部分があったが
ヘリを盗んで原子力発電所に落とすという発想にかなり引き込まれた。
理系な用語が盛りだくさんなので、拒否反応を示す人もいるかも。
僕は割と得意な方なので問題はなかった。

■ストーリー
「爆発物を積載した超大型ヘリを高速増殖炉に墜落させる。
それを防ぎたければ日本中の原発を即刻使用不能にせよ」──。
「天空の蜂」と名乗る犯人が仕組んだ恐るべき犯行。
超大型ヘリはすでに原子炉上空千数百メートルでホバリングを始めていた。
だが犯人にも誤算があった。コンピュータによって遠隔操作されるヘリ内部には、
子供が閉じこめられていたのだ。

■感想
原子力発電所にヘリを墜落させるという発想にまいった。
こんな感じで一種のテロを起こすことも可能だということを思い知らされたし、
それを実行できるように多少強引だがもっていった筆力もすごいと思う。

原子力発電のシステムやヘリの制御システムなど理系的な専門用語が盛りだくさんで
慣れていないと、読んでいても理解に苦しむことがあるかもしれない。
僕は比較的得意な方なので問題なく読み進める事ができたが、
駄目な人は物語の半ばで挫折してしまうかもしれない。
それほど沢山の専門用語が使われている。

東野作品を読んで毎回思うのは、犯人がとても頭が良く、緻密な計画を立て
それがことごとく完璧に進んでいくというのがある。
本作品もそんな感じで、完璧な計画で進んでいくが、それを捜査する警察が
少しの手がかりから犯人にいきつくところに感動を覚えた。

途中で山場を超えたあたりから少し中だるみな感じはあったが
最後はキッチリとしめたのはさすがだと思う。

本作がただのミステリーとして終わるのではなく、読み終わった後では
今までの自分の原子力発電所に対する考えを大きく変わらせられた作品でもある。




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