天使と悪魔


 2011.6.28  二転三転するがインパクトがない 【天使と悪魔】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ダ・ヴィンチ・コードの続編。あからさまにエンターティンメント性を高めている。いきなり冒頭から事件がスタートし、そこからはひたすら謎解きと、新たな謎の連続だ。そのため、見ている方は飽きずにストーリーを追いかけることができるだろう。ただ、この謎解きがとんでもなくこじつけに感じて仕方がない。あまりに都合が良すぎるというか、そこまでうまくいくかというほど、謎解きがぴたりとはまる。お決まりどおりに二転三転する流れだが、そこに特別なインパクトはない。前作の、特に原作が好きな人には物足りないかもしれない。アクション性と謎解きばかりに力が入り、神秘的な雰囲気がほぼなくなったといってもいいだろう。ごく平凡な作品となっている。

■ストーリー

カトリック教会の新しい教皇を選出するコンクラーベの開催が迫るヴァチカンで、候補者の枢機卿たちが誘拐される。犯人はスイスの研究所から恐るべき破壊力を持つ“反物質”を盗み出し、ヴァチカンの爆破をも企てていた。宗教象徴学者のラングドン教授は、ヴァチカンの依頼を受けてこの事件の調査を開始。教会に迫害された科学者たちが創設した秘密結社イルミナティとの関連性に気づいた彼は、美人科学者ヴィットリアの協力を得て、謎に満ちた事件の真相を追うが―!?

■感想
ヴァチカンで枢機卿が誘拐される。その前には”反物質”が盗まれる。とんでもない状況の中で、事件を解決するためにラングドン教授が登場する。いつもどおり、知識と調査から秘密結社の存在を感じ取り、事件を解決に導くのだが…。正直、前作に興味があり、この手のヴァチカンの歴史や、コンクラーベや枢機卿について興味がなければ、ただのアクション映画となってしまうだろう。謎が生まれ、それをラングドンがこじつけと思われるほど強引な解釈から答えをだす。答えがでても、驚きは少ない。

謎解きと共に、真犯人を見つけ出すことに仕掛けがある。定番かもしれないが、絶対に犯人ではないだろうと思った人物が犯人となる。信じられないようなハードアクションをこなしたかと思えば、すべての黒幕的存在だったりもする。確かに想像外の人物が犯人なのは間違いないが、驚きはあまりない。反物質という、よくわからない爆弾の存在もそうだが、なんだかんだといろいろと理由をつけられているうちに、その気になり、いつの間にか、物語の流れに乗せられている。そんな感じかもしれない。

前作がそれなりにヒットしたので、本作を作ったのだろう。原作は未読だが、おそらく前作の資産を食いつぶすような作品だったのだろう。同じ流れであれば、どうも二番煎じ的な印象はぬぐいされない。前作を乗り越えるためには、前作を越える強烈な個性が必要なのだろう。前作の謎がまだわかりやすかったのに比べ、本作の謎は、日本人には少し厳しいのではないだろうか。もしかしたらイタリア人にとってはなじみのある話なので、より楽しめたのかもしれない。バックグラウンドにある知識の差が、感じ方の差になっているのだろう。

平凡なアクション映画として見れば、よくできている。


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