シャーロットのおくりも


 2011.9.10  子ブタだけひいきだ 【シャーロットのおくりもの】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
てっきり子ブタが主役の物語かと思っていたが、シャーロットというのは蜘蛛のことらしい。春に生まれた子ブタに、雪を見せるために、シャーロットが考えたこととは…。蜘蛛の巣に文字を書くという発想は新しいのかもしれないが、一番驚いたのは、書いた文字が日本語ということだ。アメリカの作品ながら、日本向けにCGで書き直したのだろう。その他の動物も、キャラクターとしては面白く、多少偏見がはいった描写もあるが、子供向け作品としては申し分ない。なんとか食べられずに助かったウィルバーはいいが、他のブタたちはどうなのか?ということはおいといて、まずはシャーロットがおりなす奇跡を感動的に描いている。

■ストーリー

牧場の娘ファーンは子ブタにウィルバーという名前をつけ、自分の手で育てることにした。しかし「春に生まれた子ブタは雪を見ることが出来ない運命」だった。そんな言葉に怯えてハムになる日を恐れるウィルバーに、母親のような愛情で励ましたのがクモのシャーロットだった。シャーロットは、命の尊さを人間に伝えるため、クモの巣に糸でメッセージを浮かび上がらせてみせた。やがて“奇跡のおくりもの”が・・・。

■感想
つい最近見た「ブタがいた教室」というものと対極をなすような作品だ。偶然やってきた子ブタの命を救うため、シャーロットが考えた作戦。単純だが人間の心理をついたうまい方法なのだろう。そうなると、生き残ったウィルバーは良いのだが、そのほかの子ブタたちはいったいどうなるかということが、まったく描かれていない。そのほかの動物たちも役割を果たしているが、子ブタは食べられるためにそこに存在しているはずなのに、そのことはまったく無視されている。まさしく「ブタがいた教室」とは正反対だ。

シャーロットが描く蜘蛛の巣の文字というのが、すべて日本語なのが気になった。オリジナルではいったいなんと書かれていたのだろうか。すぐに英語が思いつかないような”ひかえめ”だとかいう微妙な語彙を使ったりと、苦労のあとが読み取れる。シャーロットが人間を感動させる文字を探すために、ねずみにフレーズを探しにいかせる場面であれば、そこはオリジナルそのままに、英語の文字がおどっている。蜘蛛の巣だけが日本語だというのは、大人ならば違和感を覚えるが、子供向けなので、わかりやすくしたのだろう。

牛や馬、ガチョウなど日本ではあまり普通の農家が飼わないような家畜までも、作中には登場してくる。子ブタのウィルバーが生き残ったコンテストなども、微妙に意味がわからない。そのあたりは習慣の違いなのだろうが、それでも、気にせず見ることができるのは、製作側の工夫の賜物なのだろう。よく意味のわからない感動を押し付けるより、都合の悪いことはないことにして、ひとつの主張を常に繰り返すというのは効果的だ。最後にはウィルバーの命が何よりも尊いものに思えてきたから不思議だ。

「ブタがいた教室」と同時に見るべきではない作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp