2013.4.20 意外にくだけたエッセイ 【新・異邦人の夢】
評価:3
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■ヒトコト感想
作者のエッセイとしては「自動車社会学のすすめ」を読んだが、それはかなり真面目に車のことについて語っている。そのため、車に興味がない人にはかなり辛い作品となった。それに比べると、本作ではかなりくだけたエッセイとなっており、作者の違う一面が見えた気がした。
特にロンドン滞在の話や、パリダカの話。そして、酒や日常のちょっとした出来事についてのエッセイは、作品からは見えてこない作者の趣味が感じられてよい。ミステリー作家としての気難しい印象は、かなり変わってきた。旅先でかなり面白おかしい経験をしているということがよくわかる。サラリと読めるエッセイとしてはかなり良質だろう。作者と趣味が合えばより楽しめることだろう。
■ストーリー
島田荘司のエッセイ集。音楽、ホームズ、占星術にパリダカに酒。作者の趣味が盛りだくさんに詰め込まれたエッセイをご堪能あれ。
■感想
作者がどのような趣味をもっているのか。作品を読むと、なんとなくだが想像できる。音楽が好きでバイクや車も好きなのだろうと。占星術を職業としていたことも知っている。それらがエッセイとしてエピソードを交えて紹介されると、感じるものはまた違ってくる。
占星術に関しては、かなり専門的な話が続くのだが、実在の人物を勝手に占うというのは面白い。それだけにとどまらず、作者の作品のキャラクターを占うというのはどうなのだろうか。自分で作ったキャラクターが、占いどおりの性格かどうか確認したいのだろう。
作者のロンドン滞在の話は面白い。ホームズや漱石に関して何かしら思い入れがあるのは、作品を読めばわかるのだが、実際にロンドンでいろいろな経験をしていたのだとわかった。作者のエッセイは、どこか小難しい印象があったが、本作ではその印象をふっしょくしている。
ちょっと変わった経験を、くだけた表現でエッセイとして描く。青森から九州まで車で縦断するなんていうかなり特殊な経験も、それなりに面白おかしく描かれている。くそまじめなエッセイよりは何倍も読みやすく楽しめる作品だ。
車好きの作者らしく、パリダカやルマンについてのエッセイはかなり熱が入っている。特別な興味がなくとも、パリダカがどれだけ過酷なレースかというのがよくわかる。ルマンでは観戦のアテンド役の人が、かなり個性的ということで、面白エピソードが盛りだくさんとなっている。
作家が海外へ行き、面白おかしいエッセイを書いていると、旅行して金がもらえるなんてうらやましいと思うのはいつものことだ。が、やはり作家という職業の過酷さが、本エッセイ集にも見え隠れしている。胃痛で悩んでいるなんてのは、エッセイでないと知れない情報だ。
サラリと読める軽さが良い。
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