2013.7.30 心がすっきりする世直し 【三匹のおっさん ふたたび】
評価:3
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■ヒトコト感想
前作は、最後に三匹が世直しするという水戸黄門的展開が印象に残っていた。還暦をすぎた老人たちが、世直しする。その過程で、若者につめよられれば返り討ちにする。なんとも言えない、すっきりとした気分を味わうことができたのが前作だ。本作は、その印象そのままに、問題がより根深く、わかりやすい悪が存在しない物語となっている。
世直しする三匹が直面する問題は、万引き問題や、ご近所の関係、そして偽三匹の登場など、一筋縄ではいかない問題ばかりだ。それらを、還暦をすぎた男たちが、落ち着いて解決していく。キヨの孫である祐希とノリの娘である早苗のラブロマンスも、なんだか微笑ましくて良い。三匹の世直しに心がすっきりするのは、前作と変わらない。
■ストーリー
剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械をいじらせたら右に出る者なしのノリ。「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!」と、ご近所の悪を斬るあの三人が帰ってきた! 書店万引き、不法投棄、お祭りの資金繰りなど、日本中に転がっている、身近だからこそ厄介な問題に、今回も三匹が立ち上がる。ノリのお見合い話や、息子世代の活躍、キヨの孫・祐希とノリの娘・早苗の初々しいラブ要素も見逃せない。
■感想
三匹が直面する問題は様々だ。ご近所の悪は、これまたやっかいな悪ばかり。万引きする少年たち。そして、その親たちのモンスターペアレントぶり。単純に万引きの現場を抑えるだけではだめ。まして、万引き犯人を外に追いかけるなんてもってのほか。
なんだか、この世は悪がはびこりやすいようにできているのではないかと思えるほど、理不尽なことばかり。三匹も同じように憤るが、結局は書店員の言うとおりに、波風立てず万引きを抑制する。しかし、最後には書店員の気持ちが通じ、子供たちが改心するのは、水戸黄門的終わり方にふさわしい。
祐希と早苗のラブロマンスについては、単純な若者同士のラブロマンスではない。ここでも早苗の父親であるノリのお見合い問題が絡んでいる。親子関係、特に、歳の離れた親子であれば、なおさら父親のことを心配する娘の気持ちはよくわかる。対して娘を心配する親の気持ちも痛いほどよくわかる。
三匹も、わかりやすい悪ならば対処しようがあるが、親子関係の話となると、なかなか動きだしにくい。結局、元のさやに治まるのは、ほっこりとした結末として正しいのだろう。この優しさが良いのかもしれない。
偽三匹が登場する回は、なんだか偽三匹の勝手な論理にムカムカしたり、偽三匹の気持ちもわかったりと、複雑な物語だ。が、最後には、偽三匹が本家の実力に圧倒される場面に、心がすっきりとする。偽三匹が一般人でありながら、横柄な態度で夜回りする姿は、強烈なイライラを感じてしまう。
作者の作品では、相手をイラつかせる理論をふりかざす場面がすばらしい。もっともらしい言い訳を並べてはいるが、かなり強引な言い訳だ。それに気づきながらも、読者は最後に本家三匹がこのイライラを解消させてくれると、期待しながら読んでしまう。
三匹の世直しは、相手がどんな悪であろうと、最後にすっきりするから不思議だ。
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