2011.1.5 ラストの女装は冗談か? 【陰陽師2】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
前作はものめずらしさもあって楽しんで見ることができた。特に晴明役の野村萬斎の動きがずば抜けてすばらしく、その仕草に芸術的な雰囲気すら感じてしまった。それが本作になるとさすがに二作目ということもあり目新しさはなく、粗ばかりが目立つようになってしまった。鬼や神などを扱う作品の宿命かもしれないが、VFXがチープだとそれだけで全体にB級な香りが漂い、すべてが陳腐に感じてしまう。鬼を封印するために晴明が趣向を凝らした動きをするのだが、当人たちが真剣になればなるほど、学芸会の出し物のように見えてしょうがなかった。ストーリー的にはしっかりと練りこまれており、キャストも悪くないと思うのだが、この雰囲気はギャグにしか見えない。
■ストーリー
平安時代、都に鬼が現れては人の身体の一部を食らう事件が相次ぐ中、阿倍晴明(野村萬斎)は藤原安麻呂(伊武雅刀)の娘・日実子(深田恭子)が毎夜夢遊病のようにさまよい歩くことと、鬼の事件との関係性を調べることに。一方、その頃都では幻角(中井貴一)という男が次々と奇跡を起こし、人々から神のように崇められていた……。
■感想
陰陽師としての晴明の仕草はすばらしい。一人だけずば抜けたその振る舞いが、晴明のキャラクターに合っている。本作ではその部分は変わらずすばらしいのだが、主役であるはずの晴明より脇役たちの特異なキャラクターの方にばかり目がいってしまう。中井貴一や深田恭子などキャストは豪華で、それなりに良い演技をしていると思う。それが、時代設定と鬼や神などの現実的ではない存在を演じるとなると、なんだか貧乏臭く見えてしまう。特に、演出として雷や地面が割れたりする場面であっても、そこだけ浮き上がったような妙な不自然さを感じてしまった。
前作でもそうだが、都の陳腐さと建物だけで表現した平安時代というのはどうしても違和感がある。鬼が都を滅ぼすということだが、都の守り人たちが頼りない少人数だったり、とってつけたような逃げ惑う人々だったり。ちょっとした特撮ヒーローモノの一場面とほとんど変わらないように思えた。一人、ずば抜けて優雅な仕草を見せていた晴明も、ここへきておかしな行動をとりだす。鬼を封印するために何をするかというと…。まさか女装をはじめるとは思わなかった。空中を飛び上がりながら女装をした晴明が鬼と戦う。B級路線まっしぐらだ。
ギャグの要素はないシリアスな作品のはずが、妙に笑えてしまう。それも心の底から笑えるのではなく、気の毒な俳優たちを嘲笑するような笑いだ。インパクトはあるといえばあるが良い意味ではなく、悪い意味でのインパクトだ。この手の作品の宿命であり、原作のファン以外が見るとかなり違和感をもつのは仕方がない。1だけでなくあえて2を作った理由というのがよくわからないが、チャレンジ精神はすばらしいのかもしれない。今はかなり売れっ子になった俳優もでている本作。ある意味、主役以外は皆それなりに売れているのでよかったのかもしれない。
作品の雰囲気は良いがチープさばかりが目に付いた。
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