2010.12.15 晴明のしぐさと表情がすばらしい 【陰陽師】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
原作漫画を読んだことはあるが雰囲気は近い。特に主演の晴明役がすばらしく原作に近い。冷血人間のようだがふとした部分で感情をだす。さらには、のっぺりとした表情もすばらしい。脇役である博雅の頼りなさげな雰囲気も原作にぴったりだ。配役によってかなり原作に近づいている。ストーリー的には呪を使うということで、どうしてもマンガ的になり、変な特殊メイクが目に付いたりもする。覚めた目でみるか暖かい目でみるか。平安時代の独特な雰囲気はでているが、呪い関係での映像に面白さを見出せないと辛いかもしれない。陰陽師というのがすべてにおいて万能に見えてしまい、ちょっとしたヒーロー目線で見てしまった。
■ストーリー
まだ闇が闇として残っていた京の都・平安京。当代きっての陰陽師・安倍晴明は、最近、都のあちこちでものの怪たちが蠢き出したことを感じ始めていた。ある夜、帝と左大臣・藤原師輔の娘・任子の間に生まれた親王・敦平の身に異変が起こった。晴明は右近衛府中将・源博雅からその話を聞くやすぐに、親王に強い“呪”がかけられていることを察知。晴明はこの謎と呪を解くために、不思議な過去を持つ女・青音を呼び寄せ、帝がいる内裏に向かう。
■感想
原作マンガは繊細な線で描かれているため、どこか浮世離れした雰囲気がでていた。本作もそれをなぞるように、普通の雰囲気ではない。まずなにより主役と準主役の配役がすばらしすぎる。野村萬斎は狂言師ということで、この手の演技には慣れているのだろう。一つ一つのしぐさがまさに本職といった感じだ。もともと表情的にも平安時代の公家のような雰囲気があったので、ぴったりとはまり役だ。もう一人の重要な役どころである源博雅もすばらしい。頼りなくおどおどとしているが、いざという時どんな危険な状況もかえりみず突っ走る。まさしく原作のキャラそのままだ。
呪いだとか不死の女だとか、気になる要素は盛りだくさんだ。晴明が陰陽師の力を駆使し、まわりを煙にまく姿はすばらしい。あたふたとする周りの人々の中で一人落ち着きはらった姿は、まさにすべてを知り尽くした陰陽師らしさだろう。博雅が必要以上に事態を大げさに騒ぎ立てるので、より晴明のすばらしさが目立つかっこうになる。親王との対決の時であっても、落ち着いた表情で小走りする姿はなんだか笑いがこみ上げてきた。終始落ち着いた表情の晴明が慌てる姿は見ものかもしれない。
物語全体として平安時代のセットがどうにもとってつけたようなハリボテに見えて仕方がなかった。NHKドラマのように、周囲から浮かび上がった宮殿や、帝が住む場所にしてはやけにガランとした殺風景な印象ばかりが残った。もう少し煌びやかとは言わないまでも、もっと神秘的な雰囲気かと思った。厳島神社のように赤い柱が連なっているのは良いと思うが、それらがツルンとした生活観のない急造の柱に見えて仕方がない。
キャラクターの雰囲気は原作そのまま。ただ、特殊メイクやセットがどうも浮いているように感じられた。
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