ミステリ十二か月  


 2011.12.20  ミステリの古典は好きか? 【ミステリ十二か月】

                      評価:3
北村薫おすすめランキング

■ヒトコト感想

古典ミステリ好きにはたまらない作品かもしれない。作者の古典好きがこれでもかと伝わってくる。基本はおすすめ古典ミステリを紹介しているだけなのだが、これがかなり読みたくなる。正直、古典はどちらかといえば読まないタイプかもしれない。新しい作品が次々生み出される中で、あえて古典に手をだそうとは思わない。それが、作者の考え方は違うようだ。衝撃的なのは、これから先、一生で読める本というのは限られているから、そうなると必然的に古典中心となるといったような記述だ。普通に考えて一生のうちに読める本の数など気にする人はいないだろう。そこまで古典に対して特別な思いがある作者だけに、恐らくだが、おすすめの古典にはハズレはないはずだ。

■ストーリー

子どものころ感じた素朴な驚き、忘れていませんか?北村薫が選んだ50冊、そこに、あなたが出会えて良かったと思える本が必ずあります。読売新聞好評連載待望の単行本化。有栖川有栖氏との熱血対談と、大野隆司氏の彩色版画を収録。

■感想
対談やその後の説明はさておき、なんといってもおすすめミステリーだろう。新聞上で連載されていたエッセイのようだが、コンパクトで読みやすく、それでいてミステリの謎を暴露しないよう、苦労しながら説明する部分があちこちに見受けられる。古典についてはほとんど知識がないので、作者がおすすめする古典に対して共感することはできない。古典ファンであれば、間違いなく楽しく読むことができるだろう。作者がおすすめする古典がどの程度面白いのか。その時代を代表するミステリだと言い切るからには、さぞすばらしい作品なのだろう。

作中で最も印象に残っているのは「幻の女」だ。古典の名作として誰もが絶賛する作品らしい。ミステリ好きならば必ずはまると言われたら、読まないわけにはいかない。どちらかといえば、古典は避けていた。新しい作品が次々出てくる中で、あえて古典を読む必要はないと考えていた。作者風に言うなら、一生のうちに読める本の数が限られているのなら、常に新しい作品を読んでいきたいとすら思っている。ただ、例外としてそこまですばらしい作品があるのならば、読まないわけにはいかないだろう。

「幻の女」と共に読んでみようと思ったのは「星を継ぐもの」だ。これは本屋でもチラホラ見かけたことがあるのでタイトルは知っていた。読んだことはないが、作者が説明したさわりだけを読んでもかなり面白そうだということはわかる。江戸川乱歩やアガサクリスティーなどを読むとなると大変だが、古典の中で厳選したものだけを読んでみようと思う。もしかしたらミステリ好きにとっては、古典を読んでいないのは非常識なのかもしれない。古典として今現在も生き残っているということは、それなりに面白いからなのだろうが、どうにも手が出ないのが現状だ。

古典に対しての見方が変わったのは確かだ。




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