2011.5.17 答えずらい悩みもなんのその 【みんなのなやみ】
評価:3
重松清ランキング
■ヒトコト感想
作者が、小学生から大人まで、さまざまな悩みに答えている。どこにでもある普通の悩みから、ちょっと特殊な悩みまで。子供の悩みを他人が答えるというのは、なかなか見る機会がない。なので、自分が思っていたことと、作者の回答にどれほど違いがあるのかが気になってくる。さらには、なんて答えたら良いのかわからない悩みに対しても、作者なりに答えをだしている。必ずしも正解だとは思わないが、考え方のひとつだとは思う。自分が、もし、悩みを相談されたとき、作者の考えが多少なりとも参考になることだろう。きれいごとだけではなく、人間のずるい部分も隠さない答えというのは、相手に伝わりやすいのかもしれない。自分が悩みを相談されたとき、作者のようになれるだろうか。
■ストーリー
付き合うって、どういうこと?親友がいじめられてる。うちの親は過保護なんです!障害を抱えた妹の将来は。リスカがやめられない―家族や学校のなかで誰もが感じる疑問から、人には言えない深刻な相談まで。絶対的な正解は出せないけど、少しでも楽になってほしいから、シゲマツさんが一緒に考え、真剣に回答します。おとなも必読、なやみとともに生きるコツを教えてくれる。
■感想
親が過保護だとか、親友がいじめられているだとか、まぁ、よくあるタイプの悩みなのかもしれない。それを作者が答えるのだが、やはりその手の作品を手がけた作家だけに、考え方も一環している。理不尽な答えや無責任な言葉ではなく、相手のことを考えながら、なおかつきれいごとではない、真実の言葉を語っている。悩みを投稿した子供たちは、作者の答えを読み勇気づけられたり、がっかりすることだろう。すべてに万能な答えがないのはわかっているが、悩みに答えるというのは本当に難しいことなのだなぁと思ってしまう。
悩みの中には、非常にデリケートで難しい問題もある。兄弟に知的障害者がおり、将来その子の面倒を見なければならないのか、という悩みだ。これは、なんて答えていいのか非常に難しい質問だが、作者は微妙に論点をずらしながらしっかりと答えている。確かに納得できる答えだが、その裏に隠されている、真の答えを質問者は感じることができただろうか。結局は、自分でなんとかしないとダメだということだ。他人がとやかく、きれいごとをならべたとしても、面倒を見るのは本人で、その人ではない。他人はどうとでも好き勝手なことを言えるので、作者はあえてこんな答えにしたのだろう。
人が子供の悩みに答えるのはあまり見る機会はない。自分が子供に悩みを相談されたとき、どのように答えたらよいのか。ちょっとしたシミュレーションを思わずしてしまった。無関心な答えを言ってしまいがちだが、本当に本人のためを思ったら、別の答えがあるはずだ。安易に答えるのは難しいとわかっているのだが、大人としての威厳を保ちたいという思いと、わずらわしいことに関わりたくないという二つの思いで、適当な答えをしてしまいがちだ。本作を読むことで、将来的に子供に悩みを相談されたとしたら、それなりの答えが出せそうな気がした。
それでも真剣な悩みに答えるのは、ちょっと躊躇してしまう。
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