2013.11.19 大人の女性たちの人生 【ひとがた流し】
評価:3
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■ヒトコト感想
高校時代の友が大人になり、それぞれの人生を歩む。三人の女性の物語だが、やはり大人の落ち着いた雰囲気を感じずにはいられない。三者三様、女の人生にもいろいろある。何が幸せなのかわからない。作中では、独身をつらぬくアナウンサーの千波が主役となっている。離婚し再婚した美々。離婚したままシングルの牧子。
40歳をこえてもなお友情関係にある三人。お互いが気を遣いながら、心地良い距離を保ちつつ、付き合う三人。40代男の友情とは違う、大人の女の友情というのは、ちょっとした新鮮さがある。不倫や略奪愛などのドロドロとした物語ではない。エキセントリックなイベントはないが、これが女たちの考える幸せの形なのだろう。
■ストーリー
十代の頃から、大切な時間を共有してきた女友達、千波、牧子、美々。人生の苛酷な試練のなかで、千波は思う。〈人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか〉なのだと。幼い頃、人の形に作った紙に願い事を書いて、母と共に川に流した……流れゆく人生の時間のなかで祈り願う想いが重なりあう
■感想
青春時代を共有してきた仲間。大人になり、お互いの環境が変わろうとも友情が続くのはすばらしい。特に女性であれば、家庭や子供などの影響で学生時代の友情を続けるのは難しい。何かを犠牲にしつつも、譲れない部分がある。作中では三人の女性は様々な人生を歩んでいる。
誰が幸せだとか、誰が不幸だとかいうのはない。再婚したのが幸せなのか、独身をつらぬくのが幸せなのか。千波がメインに描かれている関係上、独身女性の悲しさも多少にじみ出ている。千波がいざというとき頼れるのは親友たちで、自分が頼られても大丈夫だから、相手に頼るというのはそのとおりかもしれない。
牧子と美々には子供がいる。離婚したとはいえ、子供がいることは何かしらの幸せにつながるという描き方をされている。かといって、独身の千波が不幸だというわけではない。自分が40になるなんて永遠にこないと考えていた学生時代の友情が、実際に40になった時どう変化していくのか。
人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かがいるかということ。この言葉に象徴されるように、三人の女性たちは、お互いに補完しあって生きていく。千波の人生は、独身女性にとって、最も幸せな状態なのかもしれない。
物語の後半では、千波に大きな転機がおとずれる。人生を左右する出来事だ。そうなると、他の二人はどのような態度をとるのか。人生は酷なものであり、それを甘んじて受け入れるしかない。人生に嘆くのではなく、前向きな行動が描かれている本作。
強烈なインパクトはない。が、大人の女性たちの落ち着いた人生というのを読まされていると、同じく心が穏やかになる。物語としてのインパクトは少ないかもしれないが、ゆっくりと薄味の和食を味わうように読むのが良いのかもしれない。
大人の女性の友情と生きざまを描いた作品だ。
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