阪急電車 片道15分の奇跡


 2012.7.14   ニヤニヤしながら見る 【阪急電車 片道15分の奇跡】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作は、モテない男が夢見るようなありえない出会いと恋愛を描いていたが、ほっこりするような面白さがあった。映像化にあたり、そのへんは十分に表現されている。原作のエピソードがいくつか削除されてはいるが、映像化に向いていないからということなのだろう。本作では女が中心として物語をまわしている。最もインパクトのある、結婚式に白いドレスを着て参加した女の話がメインに添えられているのはうまいと思った。掴みのインパクトはすさまじく、その後のエピソードがちょっとありきたりだとしても、全体のレベルを高く保っている。原作を楽しめた人ならば間違いなく楽しめるだろう。特に女性は感情移入しやすいかもしれない。

■ストーリー

宝塚から西宮北口間を走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に様々な愛に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた―。片道わずか15分のローカル線で起こる、世代を超えた温かい奇跡の物語。

■感想
気分がウキウキする恋愛という印象が原作にはあった。特にモテない男が憧れるような出会いやシチュエーションだ。本作はそのあたりは抑え目で、女性目線の物語を中心に描かれている。原作のイメージでは、どこかおこちゃまな恋愛というイメージだったが、本作では、恋愛という要素自体が薄れている。やりきれない思いを抱えた女性が、それぞれに悩みを解決していくといったような感じかもしれない。悩みは恋愛に限らず多岐にわたっている。オタクが憧れるシチュエーションというのは、わずかしか残っていない。

冒頭のエピソードがインパクト的にでかいため、その後は、その余韻を引きずっている。結婚式に白いドレスで参加するなんていうインパクトのある出来事と、その他の出来事の差は大きい。ただ、構成として、自然にエピソード同士が繋がるような流れなので、違和感なくスムーズに次のエピソードへと流れていく。その他のエピソードは、実はどこかで見たような、ありきたりな出来事かもしれない。それが、前のエピソードと繋がることで、構成の妙というか、出会いの不思議さを表現し、面白さを増幅させている。

中には体が痒くなるようなエピソードもある。思わず見ながら顔がニヤケてしまうシーンもある。そのあたりは、原作の真骨頂として無難に表現されている。ニヤケるエピソードは原作と比べると少ない。そのかわり、怒りで心が熱くなり、鬱憤が溜まるシーンがある。それらのストレスは、当然ラスト間近に解消されるのだが、それがまた爽やかで心地良い。全体の流れとして、大きな山はないのかもしれないが、全体として見終わって「ああ、よかったなぁ」と思える雰囲気が全体に漂っている。

ニヤニヤしながら見てしまうのは、はたから見ると恥ずかしい状態かもしれない。



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