どちらとも言えません  


 2012.7.21   さすがの面白辛口コラムだ 【どちらとも言えません】

                      評価:3.5
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■ヒトコト感想

作者のコラムは面白い。スポーツに関してのコラムは、知識のマニアックさと選手を愛しているがゆえに出る辛口は面白い。特に今回は野球とサッカーという2大人気スポーツを主にとり上げているので、多少でもスポーツが好きな人であれば、楽しめるだろう。さらに興味深いのは、日本では考えられないような海外の階級社会だ。サッカーは貧困社会がやるスポーツで、上流社会はラグビーやテニスやゴルフらしい。なんとなくわかってはいたが、サッカー人気がすさまじいこの時代であっても、そのヒエラルキーがまかり通っている社会が恐ろしい。ベッカムやクリロナやメッシがどれだけ騒がれようとも、上流社会からは無視されているらしい。まさに目から鱗な世界だ。

■ストーリー

いやほら、たかがスポーツなんだから。キツい野次に無責任な噂、好きに言わせてもらってます。でも、そう興奮しないで、大目に見てください。ちゃんとアスリートたちを尊敬してるんですから。オクダ流スポーツから覗いてみるニッポン。

■感想
作者のコラムの面白さの一つに辛口コメントがある。名指しで相手を思いっきり批判する。そこにはちょっとしたユーモアも付け加えられている。スポーツ選手の引退セレモニーなんてのは、昔から疑問に思っていたが、作者がそのものずばりを批判しているのがすごい。それなりのスター選手ならばわかるが、そうでもない人まで引退セレモニーをやるというのはどうなのだろうか。スポーツ好き暦が長い作者だけに、過去の面白エピソードや、不自然な状況など作者の軽快な語り口がさらに面白さを増している。

ちょうど南アフリカW杯が始まった時期なので、作中にはそのことに関するコラムもある。定番どおり、本大会スタート前の日本代表のふがいない状況に怒りを爆発させているが、日本が勝ったことに対する喜びのコラムはない。そのかわり、WBCに対しての極端なまでの喜びと、アメリカ野球をくさすような言葉が続いている。メジャーのスター選手たちを寄せ集めたとしても、日本や韓国に勝てないというのはどうなのだろうかと嫌味っぽく語る。作者の辛口コメントは、自分が大ファンのチームや選手がターゲットになると、もしかしたら強烈な怒りがわいてくるのかもしれない。

作者が目を向けているのは、日本国内だけではない。そのため、冬季オリンピックでアルペンが花形というのも知らなかった。日本では、メダルの可能性がある競技ばかりをメディアが取り上げるが、世界規模で見ると、モーグルなど不人気競技でしかないらしい。そうなると、なんだかグローバルなメダルの価値というのは変わってくるのだろう。日本国内ではヒーローであっても、海外へ行けば「誰?」ということらしい。これが紛れもない現実で、作者はそれを、オブラートに包むことなくはっきりと断言している。

情報が新しく鮮度があるので、コラムとしての面白さもまた格別だ。




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